季節の健康ドクターズアドバイス 季節の変わり目に起こる体調不良。気温と気圧の変化による頭痛に注意。東京女子医科大学 頭痛外来 客員教授 清水俊彦先生 脳神経外科医。獨協医科大学神経内科臨床准教授(兼任)。汐留シティセンターセントラルクリニックや伊豆大島医療センターなど複数の医療機関で頭痛外来を担当。多数のメディアで頭痛啓発を行っています。

柔らかな日差しと爽やかな風で、過ごしやすい季節ですが、朝夕の気温・気圧の変化も頻繁で、
それにより血管の膨張と収縮が繰り返されるため頭痛が引き起こされることも。
そこで今回は、頭痛診療の第一人者である清水俊彦先生に予防と対策を教えていただきました。

過ごしやすい季節に
引き起こる痛みの種

年齢・男女別の頭痛の割合 30〜49歳の女性は、頭痛に特に注意しましょう。  頭痛は、慢性的に起こる片頭痛や緊張型頭痛など
の一次性頭痛と、くも膜下出血や脳腫瘍が疑われる
二次性頭痛の大きく2つに分けられます。
その中でも片頭痛は、季節の変わり目に頻繁に引き
起こされます。
 片頭痛は、主にこめかみから目のあたりが脈打つ
ようにズキンズキンと痛み、月に1〜2回や週に1〜
2回の頻度で発作的に起こるのが特徴です。
痛み出すと4時間から2〜3日続き、寝込んでしまう、
仕事が手につかないなど、日常生活に支障をきたす
ことも。また、吐き気や嘔吐を伴うことが多く、
光や音、においに対して過敏になり、痛み以外の症
状もあらわれます。
 痛みの原因は、脳内物質であるセロトニンによる
もの。脳が外的な刺激に敏感に反応すると、セロト
ニンが血管内で異常に増減することにより脳の血管
が拡張。脳血管の周りに張り巡らされた三叉神経が圧迫されて痛みが起こります。そのため、気圧や気温の変化が激しい春や秋は、セロトニンの分泌が不安定になりがちです。

幹部の冷却と
心身の安静で痛みの緩和を

片頭痛の対処方法 痛みこめかみ部分に、冷やしたタオルや保冷剤を押し当てたり、指で軽く圧迫すると痛みがやわらぎます。  長時間の同じ姿勢での作業や、蛍光灯などの明るい光や騒音、香水の匂いなどの刺激は頭痛の要因になるので、できるだけ避けるのがベスト。熱いシャワーを浴びたり、体を冷やしたりといった温度差にも注意が必要です。寝すぎたり朝食を抜いたりすると血糖値が低下し、血管の拡張が進むので生活リズムを一定に保つことが大切です。
 食べ物は、血管や筋肉、神経などの緊張と弛緩のバランスを保つマグネシウムやビタミンB2を含む、ひじきやアーモンド、豚肉、牛乳などが良いでしょう。反対に、ポリフェノールやチラミンは血管の拡張や血行を良くする働きがあるため、赤ワインやロゼワイン、オリーブオイル、チョコレート、チーズ、みかんなどの柑橘類を過剰に摂るのは控えましょう。
 もし片頭痛が起きたときには、照明を消した静かな部屋で横になりましょう。