季節のドクターズアドバイス 照りつける日差しの影響は肌だけじゃない。紫外線から「目」を守ろう 横浜相鉄ビル眼科医院 院長 大高功先生 慶應義塾大学医学部卒、日本眼科学会認定眼科専門医。病気単位ではなくトータルで一流の治療、特に手術治療ができる医師であることを目指し、「眼科手術全般」を専門としている。メディアへの出演も多数。

太陽光線のひとつである紫外線。
肌への対策をとっている方は多いと思いますが、見過ごされがちなのは目です。目に紫外線を浴び続けると眼疾患の発生リスクが高まる原因にもなります。
そこで今回は、日本眼科学会認定眼科専門医であり、目の全てに対して診察・治療を手掛けている大高功先生監修のもと、紫外線が起こす目へのトラブルや実践していきたい対策を紹介します。

紫外線により
角膜炎や失明の恐れ

紫外線の地表への到達度 UV-Bはオゾン層より大半が吸収されますが、UV-Aは吸収をほぼ受けずに地表に到達します。 UV-A:地表に到達し、蓄積的なダメージを与える UV-B:一部が地表に到達し、炎症を起こしやすい UV-C:オゾン層に吸収されるが、油断は禁物  日焼けの原因となる紫外線は波長により3つに分けられ、UV-A波、UV-B波、UV-C波があります。 このうち、一年を通じてダメージを与えているのは、地上に届くUV-A波とUV-B波です。紫外線量は3月から増え始め、UV-A波は5月頃、UV-B波は7〜8月頃にピークを迎えます。
 人間の目は角膜や水晶体で紫外線から守られていますが、他の臓器とは異なり唯一外部にさらされています。 そのため、直接的な影響を受けやすく、多量の紫外線を浴びると角膜や白目を覆う結膜などにダメージが加わり 、眼痛や充血を引き起こす「紫外線角膜炎」や、視力低下の恐れがある「翼状片」などを発症する原因になるとされています。 目がチカチカする、まぶしい、異物感がある、涙が出るなどの症状が現れたら目が日焼けしている可能性があるため、注意が必要です。 多くの場合、これらの症状は数時間〜数日で治まりますが、油断は禁物。 少しの紫外線でも日常的・長期的に浴び続けるとダメージが蓄積され、眼疾患の発症を招くこともあるため、紫外線を浴びすぎない対策が必要です。

内側と外側の
ダブルケアで目を守る

目への対策 ・日傘や帽子は色が濃く、生地が厚いもの。帽子は、つばが7cm以上あるハットタイプがよいでしょう。 ・サングラスのレンズの色は薄いものを選び、顔にフィットしたものを選びましょう。 ・ビタミンCやビタミンE、アスタキサンチンを含む食材を積極的に摂って、体の内側からのケアも心がけましょう。  海や山でのレジャーだけでなく、ビル街での照り返しなど紫外線を浴びる機会は多くあります。
 基本は日傘や帽子、サングラスで目を守ることです。日傘は色味が暗く、生地が厚いものを選び、柄を短く持って体に近づけてさしましょう。 帽子も色味が濃く、つばの広さが7㎝上あると理想的です。サングラスは、色が濃い方が防げるように思いがちですが、瞳孔が開き紫外線が入りやすくなってしまうため、 薄いものを選びましょう。いずれもUVカット加工が施してあればさらに安心です。
 また、体の内側からのケアも大切です。緑黄色野菜や果物に含まれているビタミンCやビタミンE、β-カロテンのほかに、紅色の魚介類に含まれるアスタキサンチンには、 紫外線のダメージにより体内に発生した活性酸素を除去する働きがあります。ダメージを蓄積しないためにも日々のケアを心がけましょう。