質の良い睡眠に満たされる町島根県

「不眠度」が低い「ぐっすり県」ランキング1位、出雲大社や宍道湖で有名な島根県。
その地でいきいきと活躍されている野津和子様を訪ねました。

健康で活動し続ける生活

宍道湖の東岸・浜乃木にある「スワンデイサービス」。野津様は、ここで週に3日、元気に体操の指導をされています。ここでは利用者の方もスタッフも、みなさま積極的に笑顔で体操を楽しんでいます。

体操の指導のほか、ボランティアなど様々な場面でいきいきと活躍されている野津様に、お仕事のことやADL対応型高齢者体操のことをお聞きしました。

ADL対応型高齢者体操上級公認指導者 野津和子様

ADL対応型高齢者体操上級公認指導者 野津和子様

もともと高校で保健体育を教えられていた野津様は、お母様の介護を機に介護業界へ入られました。

「高校の教員をしていたのですが、母親が病気になったために、勤めを辞めて、母の介護をすることになりました。母の面倒を見ていて、落ち着いた頃にちょうど松江市の社会福祉協議会で欠員が出たということで依頼され、介護の世界へ入りました。老人保健施設で働きながら、介護福祉士の資格を取得し、ケアマネージャー(介護支援専門員・ケアマネ)の第1回(平成10年度)の試験を受けて合格しました。もう、50歳を過ぎていましたけどね」。

野津様

その後、島根県で介護事業を始める企業から依頼があり、立ち上げから関わることになったそうです。

「島根県では、松江の乃木に最初にステーションを置いたんです。そこで、デイサービス、ケアプランを作るための居宅事業所、それからヘルパーさんの訪問介護事業所と、3つを同時に始めるということでした。当初は、居宅事業所のケアマネージャーをしながら責任者をやって、なおかつその3つの総合センター長という役割を与えられました。その後、島根県と鳥取県で計4施設を立ち上げ、その4つを管轄するという新しいポジションを任され、定年の60歳までそちらの企業で働きました」。

野津様

退職後は、介護施設の施設長として71歳まで働き、「フリーになろうと思っていた」そうですが、縁あって、現在の「スワンデイサービス」で週に3日、体操の指導をすることになりました。

「ここの朝のアクティビティは、たぶんどこの施設よりも充実していると思います。最初は、なかなか動けない人もいましたが、今までの経験から、"この人にはこんな声をかけるとやる気を出すかな"とか、"こういうことを言うと理解してもらえるかな"など、粘り強く積み重ねた結果、みなさんできる範囲で体操を楽しんでいただけるようになりました」。

野津様

その他にも、ロコモーティブシンドローム(ロコモ)を予防するための体操や生活習慣の改善についての講演など、高齢者の自立を助けるためのボランティア活動もされています。
また、松江市のケーブルテレビでは、野津様が出演されている体操の番組が放映されています。

「スーパーのレジへ並んでいると、うしろから『今朝あんたと一緒だったよ』って声をかけられるんです。え、どこで一緒だったかな?と思ったら、テレビを観た人で(笑)」。

野津様

研究会の島根県支部長でもある野津様が指導するADL対応型高齢者体操とはどういったものでしょうか?

「日常生活動作をいつまでも良い状態に保つ、あるいは病気やケガなどをして体力が落ちた方たちが運動してそれを改善していくことを目的としています。
大切なのは、ロコモ予防だと思うんです。嫌だといっても老化現象は進んでいきますので、運動機能を1日でも長く保つために、継続して体操をしましょうという取り組みです。成蹊大学の名誉教授である大久保洋子先生がスウェーデンの"年金体操"を研究され、日本の高齢化対策に有益であるとして持ち帰り、広められています」。

野津様

歌を歌って声を出し、手足をブラブラさせたり、足踏みをしたりなど、40〜50分ほどの様々なプログラムが用意されているそうです。

高齢者の方が体操を続けるためのポイントは?

「体操に入る前の準備運動が一番大事です。高齢になると立って行う運動はなかなかできないので、座ってやることになりますよね。だからなおさら、指先足先をしっかり動かしておかないといけません。また、息を吐くことを意識するようにします。たくさんの新鮮な空気を吸うためには肺を空けなければならないので、『まず吐きなさい、声を出しなさい』と指導します。息を吐くと必然的に吸うことにもなります。呼吸に注目するというのがこの体操の特徴の一つです」。

野津様

手拍子をしながら足踏みをしたり、声を出しながらボールを投げたり、歌のリズムに合わせて自分の両肩を交互にたたくなど、2つのことを同時にやる運動もたくさんあります。なかなかうまくできない方もいらっしゃいますが、体操をされている方が、みなさん笑顔なのが印象的でした。

「それが大事なんです。はじめて体操される方のほとんどが、『だめだめできない』って言います。でも、できないことをマイナスに捉えるのではなく、笑いにすることでプラスにするという状況をつくります。笑うことや、できないことをやって脳を活性化させるということも目的の一つです。これは、シナプソロジーというプログラムで、体を動かしながら五感を使って脳を活性化するものです。認知症の予防効果も期待できます。すべてをできるようになるまでがんばろうというと嫌になるので、『間違いを楽しむゲームですから大いに笑ってください』って言いながら、楽しんでやることがいいんです」。

野津様

体操を始めるときには、「無理をしないように」と強調されていましたね。

「毎回言っているんです。毎回やるたびに言わなきゃダメです。ついつい競争意識が出ちゃうのね、人って。継続することが一番大切なので、無理せず続けられる加減で運動することが重要なんです」。

忙しい野津様の健康の秘訣は、自分のペースを守った生活サイクル。介護施設に勤務されていた頃は、不規則だったそうですが、現在は、6時間程度の睡眠、毎朝の体操、1日に350g分の野菜を摂ることを心がけていらっしゃるそうです。

「食事は一番大切です。お昼や夜は忙しくなるので、朝のうちに、まず350g分の野菜を量って、レンジでチンしておきます。そして、食事の際にはその野菜を調理して食べるようにしています。カレーコンソメや自家製の梅味噌で味付けしたり、ポン酢などで炒めたりして。野菜だけでなく、5大栄養素をバランス良く摂ることにも気を使っています。無理して1食ですべてを摂るというよりは、1日の中で、もしくは次の日でも、昨日足りなかったなと思うものを補うように摂っています」。

高齢者は"はかる"ことが大切だとか。

野津様

「うちの食器には、ぜんぶ入る量の数字が貼ってあります。茶碗1杯分のごはんの量も数字にして茶碗に貼っています。血圧や体温はもちろんのこと、ロコモ度のチェックなど、高齢者は特に定期的に"はかる"ことが大切です。数字で見ることによって、変化がわかりやすくなります」。

リラックス方法は料理や趣味のかぎ編みだそう。

「違うことをすると、気分転換できますね。新聞を読んだり、書類の作業を続けたりしていて、集中力が途切れそうなときには、かぎ編みをします。一つ仕上げると、また集中できるようになります。"ながら"でやるのも得意なので、ケーキを作りながら煮物を作ったり、掃除をしたり、同時にやることも多いですね」。

かぎ編み

年齢を感じさせない、パワフルな野津様のこれからの夢、やりたいことを伺いました。

「まだまだ夢はたくさんあります。120歳位まで生きないと足りない(笑)。まずは、自分が持っている和服をどうするかを考えています。もう、和服を着ることはなかなかないので、ワンピースなど普段着られるものに変えられないかなと思っています。義理の姉が、着物の帯をカバンに作り変えてくれたものを愛用していますが、そういう使えるものに変えていきたいですね」。

野津様

エネルギッシュな野津様のお話と、デイサービス利用者のみなさまの積極性には大変驚かされました。

スワンデイサービス

スワンデイサービス 島根県松江市浜乃木三丁目3-26 グッドエイジ浜乃木1F
TEL:0852-21-3845 FAX:0852-21-3846