日本最西端太陽と海の力がみなぎる島−沖縄県与那国島−

日本の最西端・与那国島。
太陽と海に囲まれたこの島で、「長命草」を生産する田島さんを訪ねました。

太陽と海が育む長命草の生命力

与那国島のあちこちで自生している長命草が、その生命力の強さ、栄養価の高さで注目され、畑で栽培されるようになったのはここ十数年のこと。与那国島では、長命草の栽培が地域振興産業ともなっていて、定年後の生業にする人が増えています。

長命草生産者 田島寛二さん

長命草生産者 田島寛二さん

与那国島で生まれ育ち、雑貨店の配達員として働いてきた田島寛二さんもそのひとり。長命草の栽培を始めて、12年ほど経つそうです。

「それまで農業はまったくの素人。農作業といえば、子どもの頃、キビの畑を手伝った経験があるくらいでした」

長命草は成長の早い常緑多年草です。田島さんの畑では、例年1月から栽培を始め、9月くらいまでの間に3回収穫しています。

収穫

「長命草は生命力が強く、比較的手がかかりませんが、放っておくと雑草が伸びてしまうので草取りは大事な仕事です」

また、
「時々畑にポンプで汲んできた海水を撒きます」
と田島さん。

与那国島では多くの長命草農家様が海からポンプで海水を汲みあげ、畑に撒いているのだそうです。

水撒き

「収穫後に、次の栽培の準備のために海水を撒くことも多いですね」

海の近くでは育たない植物もたくさんありますが、もともと潮風が吹きつける海沿いの断崖でもイキイキと葉を茂らせる長命草にとっては、海水は栄養分。海のミネラルを取り込むことで、葉は肉厚になり緑色は濃くなるのだそうです。

長命草

「もちろん天候に左右されるので、雨の多かったときなど海水が撒けないこともあります」

長命草が収穫できる時期、タイミングも、天候によって異なります。長命草の収穫のタイミングは、花が咲いたら少し遅すぎるくらい。花が開かないうちに収穫するのが良いとされています。

長命草は花が開くと葉に水分がなくなってしまうそうです。田島さんに促されてまだ花が咲いていない長命草の葉に触ってみると、みずみずしくやわらかな印象を受けました。

田島様

「この状態だと、今年の収穫は6月いっぱいまでかなぁ」
と田島さん。

収穫が終わったあとは、畑を整え、次のための準備を行います。

長命草の畑には、1.5m間隔ほどの畝を設け整然と苗が植えられているものと、畝がなくあちこちに植えられているものがあります。
その理由を聞くと、

「畝があるとトラクターが入りやすい一方、雑草が育ちやすいんです。畝がないものは手入れが大変だけど、雑草は育ちにくい。一長一短なんですよ」
と田島さん。

田島さんの畑でも、両方の栽培方法を採用しているということでした。

田島様

長命草とともに島で生きる

田島さんの言葉を借りれば、与那国島は「人々の情が深い村」。
その与那国島で、愛着のある長命草を育てることができるのはとても幸せだと田島さんは目を細めます。

「長命草はずっと昔から与那国島の人々にとって身近なもの。愛着もあります。たくさんの人に与那国島の長命草を召し上がっていただきたいです」

長命草

ミントのようにさわやかな香りが広がる長命草。畑に生えている葉をちぎって直接口に運ぶと、すっきりとした心地良い青さを感じることができます。

長命草は、与那国島のお祭りでは、神様に捧げる供物(ウサイ)に欠かせません。また、薬味やお刺身のツマとして使うことが多いそうです。最近は粉末にしたものも販売されていて、それを水に溶いていただくことも。

刺身

「孫もよく飲んでいますよ」
と田島さん。

そんな田島さんに、長命草のおすすめの食べ方を聞いてみました。

「酢味噌和えがおすすめです。天ぷらもいいですね。葉を刻んで揚げても、刻まずにそのまま揚げてもおいしいです」

てんぷら

幸せそうな笑顔で食べ物について語ってくれましたが、奥様からは健康のために食べる量を調節するように言われているとか。結婚して約40年になる奥様とは、島の青年会で知り合ったそうです。

「ほとんどケンカはしたことがないですね」

夫婦円満の秘訣は、「お互いに悪いことをしないこと」とにっこり。

島でおすすめの場所を尋ねると、

「昔、妻とよくデートしたナンタ浜はいい場所です。海も本当にきれいですよ。若い頃は車がなかったので、歩いていったものです」

と、長命草の小さな花に触れながら照れくさそうに教えてくれました。

田島様