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寒くなるこれからの季節、血流が低下することで体の不調が起こりやすくなります。そこで、末梢血流を改善するといわれる「ヘスペリジン」について専門家に伺いました。
近畿大学 農学部食品栄養学科
教授
米谷 俊(こめたに たかし)
京都大学大学院農学研究科修士課程修了(食品工学専攻)。江崎グリコ(株)に入社。研究本部 技術参与を経て現職。2018年より日本食品科学工学会関西支部 支部長。ヘスペリジン研究会 理事も務める。
──最近注目されている「ヘスペリジン」とは、どんな成分でしょうか?
米谷 「ビタミンP」とも言われるヘスペリジンは、ポリフェノールの一種で、ノーベル生理学医学賞を受賞したセント=ジェルジ・アルベルト博士が、ビタミンCとともに発見した成分です。柑橘類、特に温州みかんやバレンシアオレンジなどに多く含まれていて、体の末端の血流を改善する効果があることがわかっています。
──冬にみかんを食べるのは理にかなっているというわけですね?
米谷 いわゆる“生活の知恵”として長く受け継がれているものは、それなりの理由がある場合も多いですね。
冬は外気温が低いので、体の中の熱が奪われるのを防ぐために、血管がギュッと収縮します。ヘスペリジンは自律神経に作用し交感神経を抑えて、血管を広げる働きをしてくれます。その結果、血流が改善されるのです。
──血流が滞りがちのままだと健康にはどんな影響がありますか?
米谷 血液の働きは、私たちの体の隅々の細胞まで酸素や栄養を運び、二酸化炭素や老廃物を回収することです。血流が滞ると体の末端に必要なものが運ばれなくなったり不要なものをスムーズに処理したりできず、体にさまざまな不調が現れやすくなります。
──ヘスペリジンの末梢血流を改善する作用は、どんな方に、より効果を発揮しますか?
米谷 たとえば筋肉の少ない方は、熱をつくる力が弱く、外気温が低いと血流が滞りがちになります。また、長期間ストレスにさらされている方も、交感神経が強く働くため、血管が収縮している傾向があります。
そういった方々は手の先など体の末端が冷たくなっていることが多いので、もしご自身にそうした症状があれば、ヘスペリジンを意識して摂るようにしてみてはいかがでしょうか。
──では、ヘスペリジンが多く含まれているみかんをたくさん食べると良いのでしょうか?
米谷 じつは、ヘスペリジンは柑橘類の果肉より、筋や皮など通常は捨ててしまう部分に多く含まれています。さらに、水に溶けにくいため、体内に吸収されにくく、みかんを食べて量を摂るのはけっこう難しいのです。しかし最近では、柑橘由来のヘスペリジンを酵素で処理してグルコース(糖)を結合させた「モノグルコシルヘスペリジン」という成分を活用し、サプリメントや飲料などに製品化されたものがあります。
運動習慣やバランスの良い食事、質の良い睡眠など、血流を改善させる生活習慣に加えて、そうした製品を上手に利用するのも健康に過ごすための方法のひとつです。