血圧の測り方

 血圧は、測る時の状態や時刻によって変化します。一般的には一日のうちでは、昼間が高く夜は低くなり、また緊張やイライラ、不安、運動後などは血圧が変動します。そのため、継続的に一定の条件で血圧を記録し、変化を見極める必要があります。
今回は、そんな血圧の基本的な測り方について解説します。

1.血圧を測る時間や姿勢

 家庭で血圧を測る場合、1日に朝と夜の2回、リラックスした状態で座って測りましょう。

<血圧の測り方>

  • 【回数】1日2回(朝と夜)、各2回

  •  :朝は、起床して1時間以内(排尿後、薬などは飲む前、朝食前)

  •  :夜は、就寝前

  • 【場所】静かで適度な室温の部屋で

  • 【測定前】背もたれつきの椅子に足を組まずに腰掛け、1~2分間安静にし、リラックスする

  • 【測定中】血圧を測る腕の部分と心臓を同じ高さに保ち2回測る

  • 【補足】

  • ・測る前に、喫煙・飲酒・カフェイン(コーヒー、お茶)などの摂取は控える。

  • ・薄い着衣の場合は、その上に巻いて測ってもよい。

  • ・測っている間は、会話などしない。

  • ・原則利き手と反対側の腕で計測。

  •  (ただし、左右差がある場合は適宜利き手も)

血圧の測り方

2.血圧記録のすすめ

 自分の血圧が今どの状態なのか。実は「血圧高め」の方のほとんどに自覚症状がなく、血圧を測らないかぎり、自分の血圧が高いのかどうかを知ることができません。そして、年齢を重ねるほど血圧は高くなりやすいため、知らぬ間に正常な血圧から「高値血圧」などの数値まで上がっている場合も少なくありません。

上の血圧と下の血圧

 家庭で血圧を測って記録する場合、7日間の朝の平均値7日間の夜の平均値で評価し、できる限り長く続けることが推奨されています。また、朝晩だけでなく夕食前や入浴前、飲酒前、などの際に測るのもおすすめです。ただし、あまり何度も測定する必要はありません。また、そもそも測ることで不安になる場合や、測り忘れたり、測定数値が高かったりして一喜一憂する必要もありません。自分の血圧を把握しておくことで、自身の健康の変化を捉えることができたり、またどういった場面で上がりやすいかなどを予め把握しておくことで、日々の安心材料にもなります。
健康診断で注意を促される前に、少しでも「高め」と見受けられた段階から血圧を記録し自身の健康管理の一つにしていただくことをお勧めします。

特定非営利活動法人日本高血圧協会 理事長島本和明

監修

島本 和明

日本医療大学総長、特定非営利活動法人日本高血圧協会 前理事長

北海道小樽市出身。札幌医科大学名誉教授。札幌医科大学第二内科教授、札幌医科大学附属病院長、札幌医科大学理事長・学長を歴任。 日本高血圧学会理事長、日本心臓病学会副理事長など、多くの学会で要職をつとめられ、現在も医学の更なる発展のために数多くの学会に精力的に参加。 北海道科学技術賞、日本高血圧学会栄誉賞、秋山財団賞など、他にも数多くの名誉ある賞を受賞。