高めの血圧を下げるには?

 健康診断などで「血圧が高め」といわれたら、どうしたらいいでしょうか。 「血圧が高め」の要因の多くは、生活習慣が影響しています。食事、運動、嗜好品などの現在のご自分の生活を見つめ直し、修正することで改善や予防につながります。 そこで、まずはご自身の現状を把握してみましょう。

1.生活習慣チェック

 まずは、以下の項目の中で当てはまるものがあるか確認してみてください。

  • □塩分を摂りすぎている
  • □肥満気味である
  • □アルコールをよく飲む
  • □運動をほとんどしない
  • □野菜や果物はあまり食べない
  • □脂っこい食事をよく食べる
  • □たばこを吸う
  • □ストレスをよく感じる

いくつの項目に当てはまりましたでしょうか?これらの項目、実は当てはまった数の問題ではなく、全て生活習慣に関わってくる問題です。つまり当てはまった項目こそが、見直しの必要な習慣です。血圧は、加齢により高くなる傾向があります。そのため、できるところからできるだけ早く修正していくことをおすすめします。

2.生活習慣の改善方法

 生活習慣の修正は、以下を目安に行うとよいでしょう。また、どれか一つだけを集中して行うよりは、組み合わせて行うことが効果的です。ご自身の今の生活と照らし合わせ、できるところから無理せず取り組んでいきましょう。

2-1.食塩の摂取量を1日6g未満にする。

 食塩の過剰摂取は、血圧があがることに関係しています。平成30年国民健康・栄養調査によれば、成人男性の1日の食塩相当量は平均11g、成人女性で9.3gです。その上で、「血圧が高め」の方は、1日6g未満が推奨されており、かなり抑える必要があります。個人差はありますが、食塩相当量を1日1g減らすことで平均1mmHg強の「上」の血圧の低下が期待できます。

食塩摂取量

2-2.BMI(体格指数)25.0kg/u未満にする。

 BMIとは、体重kg ÷ (身長m)2で算出する肥満度を表す体格指数のことです。 例えば、体重90kgで身長170cmの男性の場合、

■体重90kg÷身長(1.7m)2=BMI 約31.1kg/u

となり、25.0kg/uを超えているため、注意する必要があります。

BMIの値

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-3.アルコール量を男性で1日20〜30ml以下、女性で10〜20ml以下にする。

 お酒を飲んだすぐ後は血圧が下がりますが、継続して一定量以上飲むと「高めの血圧」の原因となります。お酒を飲む際には、それぞれのお酒に含まれるアルコール量を意識して控える必要があります。
男性の場合、1日20〜30ml以下ですので、以下いずれかの量を目安にする必要があり、女性はこの約半分が目安となります。

  • ・日本酒の場合 約1合
  • ・ビールの場合 中瓶約1本
  • ・焼酎の場合 約半合
  • ・ウイスキー、ブランデーの場合 約ダブル1杯
  • ・ワインの場合 約2杯
禁酒する

2-4.運動を毎日30分以上、または週180分以上の運動を行う。

 運動は、早歩きやゆっくりしたジョギング、ランニングなどの有酸素・持久性のある運動が推奨されています。運動の強度としては、「軽く息が弾む」「軽く汗ばむ」程度が目安です。ただし、日ごろ運動していない方は、まずは軽め、短めの運動からはじめ、徐々に体を慣らすようにしましょう。また、日ごろから、階段を使う、遠くなければ歩く、掃除・片付けをするなど日常生活の活動を増やすこともおすすめです。

運動する

2-5.野菜、果物、魚介類を積極的に食べる。

 野菜や果物に含まれる「カリウム」は、塩分のもとであるナトリウムの血圧上昇作用を抑える作用があります。「血圧高め」など生活習慣の改善が求められる方の目標値としては、成人男性で3,000mg、成人女性で2,600mg。平成30年国民健康・栄養調査によると、日本人のカリウム摂取量は、成人男性で2,454mg、成人女性で2,282mgですので、積極的な摂取が求められます。(カリウム制限のある方を除く)
 また、魚介類などに多く含まれる「多価不飽和脂肪酸」の摂取も推奨されています。「多価不飽和脂肪酸」は、血液をサラサラにして動脈硬化を予防する作用があるためです。

野菜、果物、魚介類を積極的に食べる

2-6.肉・卵類を食べるのを避ける。

 食事で控えたいのは、「飽和脂肪酸」「コレステロール」です。「飽和脂肪酸」は、主に肉の脂身やバターに多く、「コレステロール」は卵や魚卵などに多く含まれています。肉・卵類を控えつつ、野菜や魚介を中心とした伝統的な日本食や魚を中心とした地中海食、また野菜・果物・低脂肪乳製品が豊富で、飽和脂肪酸とコレステロールが少ないDASH食(Dietary Approach to Stop Hypertension)といわれる食事パターンに「減塩」を組み合わせることが望ましい食事といわれています。

日本食

2-7.禁煙する。

 1本の紙巻たばこを15分以上吸い続けると血圧が上がることがわかっています。さらに、自身が喫煙していなくても、受動喫煙(間接喫煙)も避ける必要があります。また、禁煙するとむしろ血圧が高くなるという例もありますが、その場合禁煙後の体重の増加が関係していると考えられます。禁煙後も血圧の管理においては、食生活の変化に伴う体重の増加を注意する必要があります。

2-8.ストレスを溜めない。

 社会的・心理的ストレスは血圧の上昇の要因となると報告されています。ストレスが溜まらないように、ストレス発散の方法を見つけておいたり、ヨガや瞑想などに取り組むのも一つの方法です。

監修

島本 和明

特定非営利活動法人 日本高血圧協会 理事長 

北海道小樽市出身。日本医療大学総長、札幌医科大学名誉教授。札幌医科大学第二内科教授、札幌医科大学附属病院長、札幌医科大学理事長・学長を歴任。 日本高血圧学会理事長、日本心臓病学会副理事長など、多くの学会で要職をつとめられ、現在も医学の更なる発展のために数多くの学会に精力的に参加。 北海道科学技術賞、日本高血圧学会栄誉賞、秋山財団賞など、他にも数多くの名誉ある賞を受賞。

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