よくあるご質問・お問い合わせ
お客様の声
血圧が高めの人にとって、寒い冬は注意が必要になる季節です。
そこで、血圧が上がるのを防ぐといわれる「GABA」について、専門家に伺いました。
大妻女子大学
名誉教授
大森正司(おおもり まさし)
東京農業大学農芸化学科卒、同大学院博士課程修了、農学博士。大妻女子大学家政学部専任講師、助教授、教授を経て、定年後の2013年、名誉教授に。特定非営利活動法人 日本食行動科学研究所 理事としてお茶、食のイベントを主催し、「お茶博士」とも呼ばれている。
──最近話題の「GABA(ギャバ)」ですが、よく耳にするわりには何なのかがイマイチわかりません。
大森 「GABA」とは、アミノ酸の一種で、正式名称を「γ-アミノ酪酸(Gamma Aminobutyric Acid)」といいます。私たち人間をはじめ、哺乳類の脳や脊髄などの中枢神経に多く存在していて、神経伝達物質として働いています。
──体の中でGABAはどんな働きをするのでしょうか?
大森 神経伝達物質には神経を興奮させるものと抑制させるものの2つの種類がありますが、GABAは後者です。興奮しすぎた神経を落ち着かせ、精神を安定させる効果があるといわれています。
また、最近では、GABAの血圧を下げる効果にも注目が集まっています。血管収縮を起こすノルアドレナリンという物質をGABAが抑制することで、血管が緩み、結果として血圧が上昇するのを防ぐことにつながると考えられているのです。
──では、血圧が高い人は体内のGABAが足りないということですか?
大森 血圧はGABAだけでコントロールされているわけではないので、必ずしもそうとは言い切れませんが、逆に、現在血圧が高い人がGABAの働きを利用して、血圧を下げることは可能かもしれませんね。
実は、GABAは発芽玄米や小魚の頭、漬物やキムチなどの発酵食品、トマトをはじめとする夏野菜に多く含まれていることがわかっています。また、GABAは体内でグルタミン酸から作られるのですが、グルタミン酸を多く含む食品には、鰹節や海苔、高野豆腐などの大豆製品、ゴマなどがあります。これらはまさに伝統的な日本の食事に合致しています。
最近では食の欧米化によってこうした食事を摂る人は減りつつありますが、体内のGABAを増やすためにも、“昔ながらの日本の食卓”を意識して日々のメニューを考えてみてはいかがでしょう。
──毎日どれくらいのGABAを摂ればいいのでしょうか?
大森 私が以前、GABA含有量の高い緑茶“ギャバロン茶”で行った実験では、1日30mg以上のGABAを摂取すると、3カ月後に約半数の人が血圧に変化を認めたという結果が出ました。体の中で使われなかったGABAは尿として体外に排出されますから、食品由来であれば多く摂っても問題ありません。
毎日の食事で摂ることが難しければ、GABAが多く含まれる食品や飲料などを利用してもいいですね。その場合は、添加物としてGABAを加えたものではなく、自然な形でGABAが摂れるものをおすすめします。