「血圧が高めの方」の運動のポイント

「血圧が高め」の方の生活習慣の改善の一つとして、「運動」はとても重要です。「運動」を適度に行うことで、血圧を下げる効果が期待できます。ただし、無理せず体と相談しながら、習慣化していくことが大切です。今回は、「血圧が高め」の方向けの効果的な運動方法の基本をご紹介します。

1.血圧を下げる「運動」のメカニズム

適度な「運動」をすることで、体の様々な血圧を調節するホルモンの量が変化します。まず、運動により興奮や活発な動作の源となる交感神経系は抑えられ、血管の抵抗が弱まります。運動することで、血圧を上げる血中ノルエピネフリンが減少して、血管の抵抗を下げるのです。また、血圧を下げるアデノシン・ドパミンやカリクレイン・キニンは増加します。すると、ナトリウムによって利尿が刺激され、心拍が落ち着くとともに血圧が下がるのです。

運動するとホルモン量が変化する

2.血圧を下げる運動方法のポイント「種類・強度・頻度・時間」

血圧を下げる運動のポイントは、「種類・強度・頻度・時間」の4つです。
まず運動の「種類」としては、「有酸素運動」が推奨されています。「有酸素運動」とは、酸素を使い体内の糖質・脂質をエネルギー源として燃焼させる、長時間続けられる連続性のある動作のことです。
おすすめは、ウォーキング、早歩き、ジョギングなどの運動。これらの運動は特別な場所や物を必要としないため、いつでもどこでも手軽に実施しやすい運動の種類です。手軽に取り組める運動から始めて頂く方が運動を習慣化しやすくなります。

ウォーキング、早歩き、ジョギング

次に血圧を下げるための運動で意識したいのは、運動の「強度」です。運動中の呼吸が「鼻呼吸から口呼吸に切り替わるくらいの強さ」「息切れが発生する一歩手前」「軽く息が弾む」また「軽く汗ばむ」ような楽な状態からややきつい状態をめざしましょう。
また、笑顔が保てて、会話ができる強さの「ニコニコペース®」も目安となります。

ニコニコペース

次に、「頻度」
目標は、1週間に3〜7日。2日間以上空けずに1週間まんべんなく行うことをおすすめします。運動を日ごろしていない方は、まずは1日置きなどストレスのかからない程度にはじめるとよいでしょう。

最後に、「時間」。1日単位で目標をつくるよりは、1週間の合計運動時間が150〜300分/週となることを目指し、体調などに合わせて無理せず調節するようにしましょう。
まずは3〜5分間程度の短時間の運動を、休憩を挟みながら小分けに実施して頂いても結構です。

1週間に150〜300分運動する

また、もしまとまった運動の時間が取れないときには、日常生活の中でも意識して体を動かすことをおすすめします。
例えば、エレベーターではなく階段を使う、遠すぎなければできるだけ歩く、掃除や片付けなどで積極的に体を動かす、など一工夫することもよいでしょう。

血圧を下げる運動のポイント4つ

3.運動の注意点

注意点としては、運動の強さが弱すぎると血圧を下げる効果が得られにくくなりますので、ある程度の強さは必要です。一方で、息切れが発生するような激しい運動は血圧を上昇させてしまいます。また、筋トレもやり方によっては血圧が急上昇してしまいますのであまりおすすめできません。 尚、血圧値が180/110 mmHg(V度)以上ある方、また運動すると、動悸や胸が締め付けられるような症状がある方は、運動を実施せず、必ず医師による診察・治療を受けた後、指導の下で運動をするようにしてください。

福岡大学西新病院 病院長福岡大学医学部心臓・血管内科学 主任教授三浦伸一郎

監修

三浦 伸一郎 (みうら しんいちろう)

福岡大学西新病院 病院長
福岡大学医学部心臓・血管内科学 主任教授

福岡大学医学部心臓・血管内科学主任教授。大学院生のとき、「高血圧患者さんへの運動療法における降圧メカニズム」を明らかにし、博士(医学)を取得。その後、米国に5年間留学し、血圧上昇に関わるアンジオテンシン受容体の研究に従事。帰国後、高血圧や脂質異常症の予防・治療法に注力を注ぎ、現在、心臓リハビリテーションの普及にも努め、心血管病の一次予防・二次予防に取り組んでいる。

目次に戻る