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高めの血圧を下げるには、食事、運動、嗜好品などの生活習慣を修正することが大切です。また、それ以外にも血圧が上がる要因はあり、どれか一つを集中して修正するよりも組み合わせて行うことがよいでしょう。
今回は、食事、運動、嗜好品以外に気をつけるべきことをご紹介します。
寒さや冷えは血圧を上げ、特に冬場は血圧が高くなることが知られています。
それは、寒くなると、私たちのからだが体温を逃がさないように血管が縮むので、血圧が上がりやすくなるのです。特に血圧が高めの方は、寒さを感じたり冷たい水などにさわったりしたときなどは、血圧がさらに高くなるため注意が必要です。
また、急激な温度変化にも気をつける必要があります。室内から外に出る際はもちろん、見落としがちなのが、室内は暖かくても、トイレは暖房がなく寒かったり、浴室の湯船で温まっても脱衣所が寒かったりなどの室内での急激な温度変化です。ですから、冬場は特に寒さや温度変化に注意し、室内でも暖房などで温度差をなくすことや外出時はしっかり防寒するなど心がけしましょう。
1日24時間、1〜2時間ごとに血圧を測定してみると、一般的に血圧は昼間起きている時よりも夜間寝ている時のほうが下がります。しかし、血圧が高めの方の中には、
(1)「夜間昇圧型」・・・夜間寝ているときに血圧が上がる
(2)「夜間非降圧型」・・・昼間と夜間の血圧が変わらない
(3)「夜間降圧型」・・・昼間よりも夜間に血圧が下がる
(4)「夜間過降圧型」・・・昼間よりも夜間のほうが血圧が下がりすぎる
のようにいろいろなタイプの方がいます。
これらのうち、夜間に血圧が上がる(1)「夜間昇圧型」、と昼間と変わらない(2)「夜間非降圧型」 は注意が必要です。減塩やストレスの軽減、十分な睡眠など生活習慣の改善を行いましょう。
また、短い睡眠時間や交代勤務、休日の少なさなどの複合的な要因で、朝起きたときにすっきりしていないことや、よく眠れないなど質のよい睡眠が取れていないことも高めの血圧の原因になります。
しっかりと体と心を休める環境を作ることも大切です。
血圧は、高めなことによるリスクだけでなく、大きく変動することにもリスクがあります。
特に冬場の入浴では、私たちの体は急激な温度変化にさらされます。これにより血圧が大きく変動し、体に大きな負担がかかります。これを「ヒートショック」といいます。
入浴時、まず、暖房の効いていない寒い脱衣所やまだ暖まっていない浴室に入ると、体温を逃さないように血管が縮み、血圧が上がります。そして熱いお風呂につかるとさらに上昇します。その後体が温まってくると血管は広がり、今度は血圧が下がり始めます。そして、お風呂から出ると、血圧は入浴前よりも上がります。
この急激な変化とヒートショックを少しでも緩和するためには、例えば脱衣所を暖房で暖めておいたり、浴室は予め浴槽のふたを開けたりシャワーを出して浴室を温めておいたりするなど温度差をなくすことをお勧めします。
お湯の温度が高いほど血圧の変化は大きくなるため、熱すぎるお湯は避け、41度くらいまでのぬるま湯につかるとよいでしょう。
さらに、入浴中は汗をかき血液の粘りが増すため、入浴前と後にコップ1杯の水を飲みましょう。ただし、飲酒後の入浴は血圧が下がりやすく脱水症状もおきやすいので控えましょう。
また、朝風呂が好きな方は、目覚めてすぐは血圧や脈拍の変動が大きいため、起きて1時間くらいのんびりしてから入浴するようにしましょう。
血圧が高めの方は、特に環境やご自身の体調をしっかり整えて入浴するようにしましょう。
監修
島本 和明氏
日本医療大学総長、特定非営利活動法人日本高血圧協会 前理事長
北海道小樽市出身。札幌医科大学名誉教授。札幌医科大学第二内科教授、札幌医科大学附属病院長、札幌医科大学理事長・学長を歴任。 日本高血圧学会理事長、日本心臓病学会副理事長など、多くの学会で要職をつとめられ、現在も医学の更なる発展のために数多くの学会に精力的に参加。 北海道科学技術賞、日本高血圧学会栄誉賞、秋山財団賞など、他にも数多くの名誉ある賞を受賞。