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気温や気圧の変化に
負けないカラダづくり

このドクターに聞きました
臨床家・鍼灸師 若林理砂

臨床家・鍼灸師

若林理砂

1976年生まれ。高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学第二文学部卒。2004年にアシル治療室を開院。現在の趣味はカポエイラ。著書に『安心のペットボトル温灸』(夜間飛行)、『その痛みやめまい、お天気のせいです――自分で自律神経を整えて治すカンタン解消法』 (廣済堂出版健康人新書)、など多数。

過ごしやすいイメージの秋ですが、意外に体調を崩す人も多いようです。
お天気が原因で起きる体調不良の予防と改善法を鍼灸師の若林理砂先生に教えていただきました。

気圧の変化が自律神経を乱れさせる

 夏から秋にかけての季節の変わり目に、なんとなく調子が悪くなるということはありませんか? 原因のひとつは台風などによる急激な気圧の変化。鼓膜の奥の「内耳前庭(ないじぜんてい)」には、気圧の変化を感じ取るセンサーの役割があります。このセンサーが過敏に反応しすぎると、脳に過剰に信号が送られて自律神経のバランスが崩れ、頭痛や関節痛、めまい、胃もたれといった不調となって現れるのです。

不調を乗り切る対処法1 規則正しい生活で自律神経を整える 気圧の変化などでストレスが高まると自律神経が乱れ、不調が起こりやすくなります。早寝早起きを心がけるなどして自律神経のバランスを整えましょう。 自律神経が乱れると、体温調節がうまくいかなくなることも。発汗は体温調節をスムーズにするためのスイッチの役目があるので、40度〜41度くらいの集めのお風呂でしっかりと温まって、スイッチをリセットしましょう。

 不調が現れやすい人は、頭を前後左右に倒したり、肩をぐるぐる回したりして耳まわりの血流を良くすると、「内耳前庭」のセンサーが敏感に反応するのを抑えられます。耳の後ろにある「完骨(かんこつ)」というツボを押したり、温めたりするのも効果的です。

 また、秋は気温差が激しい季節でもあります。1日の中での気温差が7度を超えると、体温調節がうまくできずに、咳が出たり、妙な重だるさを感じたりすることも。そんなときは40〜41度の熱めのお風呂に入るのがおすすめです。湯船でしっかりと体を温めて汗をかくことで、体温を調節する力がリセットできます。

 不調の程度は、必ずしも気圧の変化の大きさに比例するわけではなく、なかには特定の気圧帯でピンポイントに具合が悪くなる人もいます。そんな方は気象庁のホームページや、気圧の変化がわかるスマートフォンのアプリなどで、具合が悪くなる気圧を調べてみましょう。台風がその気圧帯になる前に大切な用事はすませておく、必要な薬を準備しておくなどの調整ができますよ。

不調を乗り切る対処法2 ペットボトル温灸で、ツボを刺激 耳のまわりを温めると、気圧のセンサーがある「内耳前庭」の血流を促して過敏に反応するのを抑えられます。手軽にできる方法のひとつとしておすすめなのが、ペットボトルにお湯を入れて小さな湯たんぽのようにして使う「ペットボトル温灸」です。 ツボにペットボトルを押し当てましょう。 おすすめのツボ 完骨(かんこつ) 耳の後ろのぐりぐりした骨の部分で、左右にあります。 ペットボトルにお湯を入れて使います。 ペットボトル温灸の手順 @「ホット専用」あるいは「電子レンジ対応」の350mlサイズのペットボトルを用意します。 Aペットボトルに65〜75度程度のお湯を入れる、または、レンジ対応であれば、同様の温度になるように電子レンジで温める。 Bツボのあたりにペットボトルを3〜5秒押し当て、「熱い!」と感じたら離します。 Cこの動作を3〜5回、繰り返します。 ※お湯を入れるときや、お湯の入ったペットボトルを持つときは、やけどしないよう、くれぐれもご注意ください。