ドクターズアドバイス ウイルス対策が大事!

その咳やたんは風邪ではない!?
感染対策で気管支の炎症も防ごう!

この先生に聞きました
慶應義塾大学医学部 呼吸器内科 講師 鎌田浩史(かまた・ひろふみ)

慶應義塾大学医学部
呼吸器内科 講師

鎌田浩史(かまた・ひろふみ)

慶應義塾大学医学部卒。総合内科専門医、呼吸器専門医、指導医、日本アレルギー学会専門医、がん治療認定医。慶應義塾大学医学部内科学教室で研修後、慶應大学病院呼吸器内科、東京都済生会中央病院呼吸器内科、米国ボストン大学医学部呼吸器センター研究員、慶應義塾大学病院予防医療センターを経て、現職。2021年より同院感染制御部医師兼任。

風邪にしては咳がひどく、なかなか治まらない……。それはもしかしたら気管支炎や肺炎かもしれません。
予防法と対策を、呼吸器内科の鎌田浩史先生に伺いました。

気管支炎の原因とは

 気管支炎とは、喉から肺まで続く空気の通り道である気管や、気管から分かれて左右の肺につながる気管支が炎症を起こす病気です。原因としては、風邪やインフルエンザなどのウイルスが入り込んでしまったケースが最も多く、風邪をひいた後に咳やたんがいつまでも治まらない場合は、気管支炎が疑われます。

  • 長引く咳に要注意!

    気管支炎には急性と慢性があり、風邪をひいた後、長く咳が続く場合は、ウイルスが原因の「急性気管支炎」かもしれません。一方、喫煙習慣がある人が日常的に咳をしている場合は、「慢性気管支炎」が疑われます。

つらい症状が長引くようなら病院へ。重症化に注意!

 たいていは安静と休養を保つことで徐々に良くなりますが、咳のために夜よく眠れないといったつらい症状が続くようなら、病院で咳止めやたん切りなどの薬を処方してもらうといいでしょう。

 ただし、まれに重症化して細菌感染を起こし、肺炎などを併発してしまうこともあります。気管や気管支の内部には、呼吸の際に空気と一緒に入ってきた異物を絡め取る粘液や、外に追い出す繊毛がありますが、炎症によってそれらがうまく働かず細菌に感染しやすくなるからです。基礎疾患があったり体力が落ちたりしている場合には重症化しやすいので、特にご高齢の方は注意が必要です。

気管支炎は、どこで炎症が起きるの?

  • 鼻炎 咽頭炎(いんとうえん) 喉頭炎(こうとうえん) 気管支炎 肺炎

    呼吸によって鼻や口から入った空気は喉を通り肺へと運ばれますが、このとき一緒に入ったウイルスに感染すると炎症を起こします。炎症の場所により病名が異なり、気管や気管支が炎症するのが「気管支炎」です。症状としては、咳やたんのほか、発熱や倦怠感などがある場合もあります。

手洗いやうがいでウイルスを体に入れない

 気管支炎を予防するには、なんといってもウイルスを体内に入れないこと。新型コロナウイルスの感染対策と同じく、手洗いやうがいが有効です。ウイルスに対する抵抗力を高めるために、日頃から食事や睡眠に気を配り、規則正しい生活を心がけましょう。

 また、本人や家族に喫煙習慣があると、症状が数カ月から数年にわたって続く慢性気管支炎になる可能性が高まります。喫煙をやめることで症状は改善されるので、本人はもちろん、家族のためにも早めの禁煙をおすすめします。

気管支炎の予防と対策

  • 感染対策の基本は手洗いとうがい

    ウイルスの付いた手を鼻や口の近くに持っていくことで体内に入りやすくなります。こまめな手洗いで手を清潔にし、うがいで口の中や喉に付いたウイルスを洗い流しましょう。

  • 人混みを避けてマスクも着用

    気管支炎を起こすのは、風邪やインフルエンザなどのありふれたウイルス。人混みを避け、マスクをつけることでウイルスとの接触を減らせます。

  • 免疫力を下げないよう
    休養はしっかりと

    睡眠や栄養が足りていないとウイルスに感染しやすくなります。また、感染の際の悪化を防ぐためにもバランスのとれた食事と疲労回復を心がけ、体を冷やさないようにしましょう。