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神戸大学保健学研究科教授
認知症予防推進センター長
古和久朋(こわ・ひさとも)
東京大学医学部医学科卒業。同大学院修了。マサチューセッツ総合病院アルツハイマー病研究室への留学を経て、東大神経内科特任助教、神戸大学神経内科講師、神戸大学神経内科准教授を歴任。2017年より保健学研究科教授。2021年より同研究科認知症予防推進センター長を兼務。著書に『80歳からでも間に合う 認知症がみるみる遠ざかる食べ方大全』(文響社)がある。
高齢化が進む日本では、認知症の患者数が増えています。認知症は本人にも周囲にも大きな負担がかかります。生活の中でできる対策を神経内科医の古和久朋先生に伺いました。
認知症とは記憶や思考などの認知機能が衰え、日常生活に支障が出る状態のことです。高齢化が進む日本で多いアルツハイマー型認知症は脳の記憶を司る「海馬」からダメージが始まるため、「聞いたことをすぐ忘れる」「同じことを言う」などで周囲が気づきます。
老化に伴う「もの忘れ」と「認知症」との違いは、忘れていることを自覚できるかどうか。食事を例に挙げると、食べたものを思い出せないのが「もの忘れ」、食べたこと自体を忘れてしまうのが「認知症」です。
認知症の原因は、脳の中に老廃物がたまって神経細胞がうまく働かなくなることだと考えられています。いわば「脳のゴミ」のようなその老廃物は20年ほどかけて徐々にたまっていくため、早めの対策が発症を遅らせることにつながります。
出典:Jack CR Jr,et al.Lancet Neurol 2010
老化とともに脳の老廃物を分解・排出する力は衰えます。老廃物は20年ほどで固まりとなり脳の神経細胞にダメージを与えるように。認知症の発症を抑えたいなら50代、60代から老廃物がたまらない生活を心がけることです。
WHOも推奨する認知症予防対策は適度な運動習慣やバランスの良い食事、禁煙などですが、特に食生活の改善は手軽に始められて効果が高いのでおすすめです。
例えばポリフェノールを多く含む食品は、脳の老廃物のひとつ「βアミロイド」をたまりにくくすることが期待できます。脳の機能を健康に維持するためには不飽和脂肪酸、特に青魚を摂るといいでしょう。また、大豆製品には神経細胞内の情報のやりとりがスムーズになる物質が含まれています。おすすめは昭和50年代の日本の食卓です。ただし、塩分は少し控えめに。腹八分目にする、よく噛んで食べるといったことも認知症予防につながります。
ひと昔前に比べて日本人の寿命は延びましたが、認知症の患者さんは増えています。目指したいのは“健康で”長生きすること。今回紹介した食事は、糖尿病や心筋梗塞など、ほかの病気の予防にも有効です。ぜひ、心がけてみてください。
赤ワインやコーヒー、ブルーベリー、チョコレート、カレーのスパイスなどに含まれるポリフェノールには、脳にたまった老廃物を排出されやすい状態にする働きのほか、脳や体を酸化ストレスから守る抗酸化作用があります。
魚や野菜、大豆製品など脳を守るための食品を中心に、きのこ類や海藻、いも類などバランス良く使った昭和50年代ごろの和食は、認知症予防に効果的です。
塩分の摂りすぎは高血圧を招き、脳の血管をもろくします。日本人の多くは塩分摂取量が多い傾向があるので、減塩を心がけましょう。