全身の健康を脅かす歯周病。毎日のケアで歯と体を守ろう!|伊藤園の公式通販「健康体」
ドクターズアドバイス 生活習慣病のひとつ!

全身の健康を脅かす歯周病。
毎日のケアで歯と体を守ろう!

この先生に聞きました
大阪大学名誉教授 健口あまの 代表 天野敦雄(あまの・あつお)

大阪大学名誉教授
健口あまの 代表

天野敦雄(あまの・あつお)

大阪大学歯学部卒業。ニューヨーク州立大学歯学部研究員などを経て、2000年に大阪大学歯学部教授。大阪大学歯学研究科長・歯学部長、日本口腔衛生学会理事長を歴任し、2024年より現職。難解なバイオロジーをやさしく解説する軽妙な語り口が好評を博している。2023年と2024年にAD Scientific Index世界研究者ランキング・Dentistry in Japan部門で第1位。

歯磨きをすると血が出る、口臭が気になる……こうした症状は歯周病のサインかも。全身疾患にもつながる歯周病について、予防歯科学が専門の天野敦雄先生に伺いました。

歯周病は放置すると歯が抜けてしまう!?

 痛みなどがないため放置されがちな歯周病。歯と歯茎の間に溜まった歯垢(プラーク)や歯石をそのままにしておくと、歯肉が炎症を起こして腫れや出血につながります。やがては歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)が溶けて歯が抜けてしまうことも。

歯周病の進行

  • 軽度

    歯周ポケットに
    歯垢(プラーク)や
    歯石が溜まる

  • 中度

    歯肉が腫れたり
    出血したりする

  • 重度

    歯槽骨が溶けて
    歯が抜ける

歯周病菌は全身を巡り、疾患につながる

 歯周病菌から発生する毒素や炎症物質は血液などで全身に運ばれて、さまざまな全身疾患の原因になります。これは歯周病の進行の度合いにかかわらず起こるので、注意が必要です。また、最近では認知症との関わりも注目されています。

歯周病菌 脳卒中 脂質異常症 高血圧 がん 認知症 関節リウマチ 虚血性心疾患 糖尿病

歯周病対策のポイントは正しい歯磨き習慣

 歯周病とは、歯周病菌によって歯茎や歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。

 歯を失う原因の第1位であるだけでなく、糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病をはじめ、さまざまな全身疾患との関連が指摘されています。最近ではそれらの治療の一環として、歯科医院への受診を勧められることも増えてきました。

 いまや、30歳以上の日本人の約8割が歯周病だと言われていますが、ほとんどの人は毎日歯磨きをしているはず。いったいなぜ、こんなに多くの人が歯周病になってしまうのでしょうか。

 それは正しく歯磨きをするのが意外と難しいからです。一生懸命磨いている人でも利き手の問題や動かし方の癖などで、実は同じところに磨き残しができてしまいがち。その部分に溜まるのが、歯垢(プラーク)です。これは歯の表面に付着した細菌が増殖した塊で、歯周病菌も含まれています。この歯周病菌が歯周病を発生させるので、歯垢(プラーク)を取り除くことが大切。

 ところが、日数がたって石灰化し歯石になると、もう歯ブラシでは落とせません。歯科医院で歯の表面や、歯と歯茎の間にできた歯周ポケットの中の歯石を取ってもらう必要があります。歯周病にならないため、また悪化を防ぐためには、歯科医院で定期的にケアすることも大切なのです。

 人生100年時代。いつまでも食事を楽しみ、病気と無縁の人生を過ごすために、毎日の正しい歯磨き習慣と定期的な通院で、“健口(けんこう)”を心がけましょう。

歯周病の予防と対策

歯間ブラシを使って多方向から磨く
  • 歯を横から見た図

  • 歯を上から見た図

歯間ブラシを使うと歯と歯の間の汚れが取りやすくなります。あまり大きなサイズだと歯肉を傷めてしまうため、スッと入るくらいが理想。多方向から2〜5回往復させましょう。

歯ブラシは45度の角度でやさしく磨く
  • 歯ブラシはペンを持つように握り、歯と歯茎の根元に45度の角度で押し当てて細かく動かしましょう。力が強いと歯の根元のやわらかい部分が削れて歯周病が悪化します。ひじが上がるのは力を入れすぎているサインなので要注意。

  • ひじは上げない 毛先を45度の角度で当てる
  • ビタミンC ビタミンE ポリフェノール
  • 歯の健康に良い
    栄養素を摂る

    歯茎の健康に良いとされるのは、ビタミンCとビタミンE。また、お茶や高濃度チョコレートなどに含まれるポリフェノールも歯周病予防に効果が期待できると言われています。