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お客様の声
高コレステロールは年々増加しています。血中のコレステロール値を下げる方法とメカニズムについて、専門家に聞きました。
小林:そもそもコレステロールは、ホルモンや細胞膜の材料となるなど、体にとって大切な成分です。しかし、生活習慣の乱れなどで血中のLDL(悪玉)コレステロールの濃度が高い状態、つまり高コレステロール血症になると健康リスクが懸念されます。
池田:お茶に含まれるカテキンとコレステロールの研究は、1980年代に始まりました。静岡大学の研究グループが、カテキンでコレステロールが下がるという報告を出したんですね。そこで伊藤園さんから我々の研究室に依頼があり、共同研究が始まりました。産学連携の走りみたいな研究だったわけですね。
小林:当時、国民の健康への関心が高まるなか、伊藤園では「お茶のトクホ(特定保健用食品)」商品を開発することになり、カテキンがコレステロール値を低下させるメカニズムを解明するため、コレステロールの研究の第一人者である池田教授に共同研究の依頼をしました。
池田:共同研究をはじめた当時、さまざまな素材を調査していましたが、その中でも際立ってコレステロールの吸収を抑える効果が高かったのが、カテキンでした。また、実際に人間が1日で摂れる量の中で効果が大きいという点も、カテキンの注目すべき点でしたね。
小林:1日10杯以上の緑茶を飲む人のコレステロール値が低いという研究結果もありました。
東北大学 未来科学技術共同研究センター 池田郁男 教授
池田:食事に含まれるコレステロールは水に溶けないので、そのまま吸収されることはありません。体内に取り込まれると「ミセル」という微粒子に包まれ、その後小腸へと吸収されるのです。カテキンはこのミセルに働きかけ、コレステロールの吸収を抑えることで血中のコレステロール値を低下させます。吸収されなかったコレステロールは、そのまま体外に出て行きます。
小林:もともと、カテキンには種類があります。そのうち茶葉に含まれるカテキンは4種類で、そのなかでも「ガレート型」と呼ばれるものが、脂肪の吸収を抑えたり、血中コレステロールを減らしたりする効果があることがわかりました。私たちの研究でも、お茶に含まれるガレート型カテキンが入った飲料を摂取することで、総コレステロール値とLDL(悪玉)コレステロール値が低下したことが認められました。
池田:コレステロールの吸収を抑え、コレステロール値を低下させるためには、食事とともにガレート型カテキンを摂取することが効果的であることも研究でわかりました。
小林:コレステロールは食事から摂取するほか、体内でも作られます。食事を摂ると消化液が出ますが、その消化液のなかには我々が体内で作ったコレステロールが含まれているのです。じつは体内で作られるコレステロールのほうが、食事で摂取されるコレステロールよりも量が多く、約5倍ほどあります。
池田:消化液に含まれるコレステロールの吸収を阻害するという意味でも、やはり食事中にカテキンを摂るのが効果的でしょうね。
伊藤園 中央研究所 研究二課 課長 小林誠
小林:お茶は、現代人の健康増進の一助となる可能性を大いに秘めています。
カテキンだけでも、コレステロールの吸収抑制や体脂肪の抑制以外にも、さまざまな作用が期待されています。
また、お茶のうまみ成分であるテアニンは、認知機能改善機能、ストレス軽減作用、睡眠改善作用などが報告されています。カテキン、テアニンのほかにも、お茶には、ビタミンC、βカロテン、ビタミンE、フッ素、GABA(γ-アミノ酪酸)、カフェインなどさまざまな成分が含まれています。
さらに、カテキンの優秀なところは、「ガレート型」カテキンの持つ「コレステロールの吸収抑制」「体脂肪の抑制」のようにお腹のなかに入って効果を発揮する作用もあれば、体に吸収されてから効果を発揮する作用、両方を持ち合わせていることです。ほかの成分でそういった特性を持つものは少なく、期待したい効能に合わせて上手に飲み分けるのも一案です。我々も今後、そういった提案をしていきたいと考えています。
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東北大学 未来科学技術共同研究センター 池田郁男 教授 農学博士。東北大学大学院農学研究科教授を経て現職。専攻分野は食品科学(栄養化学)、食生活学。著書に『新版 茶の機能 ヒト試験から分かった新たな役割』(農山漁村文化協会)など。 |