対談 琉球大学 平良一彦名誉教授×金秀バイオ株式会社 稲福桂一郎 常務取締役

健康長寿県・沖縄の「食文化」と
「長命草」とは?

沖縄の長寿を長年研究されている琉球大学・平良一彦名誉教授、そして長命草をはじめ、沖縄に根付く健康食材の専門家である金秀バイオ株式会社・稻福桂一郎常務のお二人に、沖縄の人々の健康長寿について伺いました。

沖縄県の健康長寿の秘訣とは?

平良:沖縄の90歳以上の方はとても明るく、夢や希望を持っています。単に健康長寿なだけでなく、幸福感や生きがい、充実感を得られる健康長寿を私は「福寿」と呼んでいますが、沖縄にはそんな「福寿」の方がたくさんいらっしゃいます。これは沖縄特有の気候、気圧などの環境や食文化に起因すると考えられます。人と人との距離感が近いことも、いい影響を与えているのかもしれません。沖縄の高齢者は村のいろいろな行事への参加率が高いことでも知られています。沖縄県に「福寿」の方が多い要因はいくつも考えられますが、なかでも私がとくに大きいと考えているのは、「食」の影響です。
昭和54年に琉球大学に赴任するにあたって、ある方から「沖縄島の衛生学的観察」という論文を読むように勧められました。明治半ばに発表されたこの論文には、「もし天寿を全うせんと欲せば、須らく沖縄島へ移住すべし。沖縄島は日本屈指の健康地にして安全なる船の如し」と書かれていて、私が沖縄の長寿について研究するきっかけのひとつにもなりました。

平良教授

琉球大学 平良一彦 名誉教授

稻福:私ども金秀バイオでは、沖縄固有の食材を健康食品として全国に届ける研究を続けています。日差しの強い沖縄では夏にはなかなか葉野菜が育たないというデメリットがありますが、そのぶん含まれるポリフェノールの多い野菜が育ちます。沖縄の市場では日本のほかの地域では見かけない沖縄の伝統野菜が並んでいますが、そういった伝統野菜は健康をサポートしてくれるものが多いんです。

稲福常務

金秀バイオ株式会社 稻福桂一郎 常務取締役

平良:沖縄のなかでも長寿の村として知られている、北部の大宜味村の長寿の要因について研究を続けていますが、大宜味村の高齢者はお味噌汁に入れるなどして相当な量の野菜を摂っています。海藻もよく食べます。そして、食塩の摂取量が少ないんです。「食」ひとつをとってみても、さまざまな要因が複合して長寿につながっているように思います。稻福さんがおっしゃる、沖縄の伝統野菜の影響も大きいと思います。

注目される沖縄の伝統野菜・長命草

稻福:沖縄の伝統野菜にもいろいろありますが、ここ数年、与那国島に自生する長命草が話題になることが多い印象です。

長命草

平良:長命草は沖縄の人々にとって昔からとても身近ですね。最近では、様々な体によい成分に関する研究成果が発表されています。私も自宅の庭に長命草を植えています(笑)。今後が期待される沖縄の野草・・・「野菜」ですね。

稻福:昔から島の人々にとってとても身近な食材で、刺身のツマ代わりにしたり、お浸しや天ぷらにしたりなど、日常的に食べられてきました。もちろん今も、沖縄の方々にとって、なくてはならない食材です。

長命草の料理

平良:長命草は、生命力が非常に強い植物としてもよく知られていますよね。

稻福:波が打ち寄せる断崖で、照りつける太陽と潮風にさらされながらもたくましく育つ長命草の生命力は強靭で、台風などでほかの草が枯れてしまっても長命草だけは青々としていたりします。近年の研究で、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸やルチン、GABAなどを多く含むことがわかりました。サンゴ礁でできた島の土壌で育っているということもあってか、カルシウムやカリウムといったミネラルも豊富です。

長命草の栄養成分 長命草は、牛乳の約2倍のカルシウム コーヒーやプルーン等に含まれるクロロゲン酸や、そばなどに含まれるルチンなどのポリフェノールも含まれています。 ※100g当たりの成分量 ※長命草(生葉)数値:伊藤園調べ ※長命草以外:日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

平良:長命草をはじめとした沖縄の伝統野菜は、昔から大切な食文化として、おじい・おばあから、子ども、そして孫へと伝えられているんですね。

稻福:周りを海に囲まれた沖縄では、カツオの出汁をかなり使うこともあり、たんぱく質を多く摂取できているのもいいですね。

平良:沖縄では昆布が穫れないにもかかわらず、昆布の摂取量も多いんですよね。すっかり沖縄の食文化に根付いているんです。

「食」が支える沖縄の「福寿」

平良:健康を維持する秘訣は数多くの食材を摂ること、そして、それを継続することです。体にいいものを食べてもすぐに体調が改善するわけではありません。日々の食事で、多くの食材を摂り続けることが大切です。

野菜

稻福:そうですね。「食」というのは総合的に考えるべきもので、食物繊維やビタミンなど、さまざまな栄養素をいかに複合的に摂れるかが重要です。先生もおっしゃっていましたが、沖縄の人は本当にたくさんの野菜を摂取している印象があります。お芋の葉っぱのようなものもよく食べていますよね。

平良:厚生労働省は、1日350グラムの野菜を摂ることを推奨していますが、沖縄でも若い世代の野菜の摂取量は250グラム程度に留まっています。しかし、沖縄のおじい・おばあの多くは、400グラム以上は摂っているはずです。これはぜひ真似したいですね。私の隣の家のおばあはお孫さんに、「ヤギのようにたくさんの野菜を食べなさい」と言っているそうですが、これは沖縄の方々の「福寿」を支える重要なキーワードだと思います。生野菜で摂るのが難しければ、煮込むなど加熱していただいてもいいと思います。加熱により、ビタミンCは生の状態より減ってしまいますが、野菜にはビタミンCのほかにも期待できる成分がたくさん含まれています。

稻福:青汁や野菜飲料で補うという手もあります。たくさんの種類の野菜を、バランスよく、たくさんいただくことが大切です。上手に摂取できる工夫をしたいですね。

青汁
平良教授

琉球大学 平良一彦 名誉教授

琉球大学名誉教授、医学博士。沖縄の長寿要因を、社会医学、保健学、保養学、看護学、社会学、心理学など総合的な視点から長期追跡研究を進めている。

目次に戻る