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お客様の声
加齢による筋肉の衰えが始まるのは何歳からかご存じでしょうか。 なんと、50代から筋肉量は減少し始め、そこから急激に下がります。 健康や寿命にも影響する筋肉は、体にとって重要な存在。 これからの健康のために、筋力をアップしましょう!
国立長寿医療研究センター
理事長
荒井 秀典 (あらい ひでのり)先生
京都大学医学部大学院医学研究科修了。医学博士。同研究科人間健康科学系専攻教授、国立長寿医療研究センター病院長を経て、2019年より同理事長。また、日本サルコペニア・フレイル学会代表理事、日本老年医学会副理事長、日本老年学会理事長等を歴任。専門は老年医学、フレイル、サルコペニア、生活習慣病。高齢者の方を全人的に診療し、わかりやすい説明を心がけている。
出典/日本老年医学会雑誌 47巻1号(2010:1)「日本人筋肉量の加齢による特徴」を参考に作図
筋肉が減少する原因は、大きく分けて年齢、病気、生活習慣です。年齢でいえば50代から減少し始め、糖尿病などの慢性疾患のある方や、栄養不足、運動不足の方はさらに筋肉が減りやすいので注意が必要です。栄養不足は病気によるものもありますが、ダイエットなど極端なカロリー制限も筋肉の減少につながります。
若いときに運動不足やカロリー制限で栄養不足だった人は筋肉量が少ないかもしれません。今からでも筋肉を増やして健康リスクを減らしましょう。
筋肉量が少なくなると、免疫力の低下や血糖値の上昇などさまざまな問題が起こり、肺炎や感染症にかかるリスクや、糖尿病になる可能性が高まります。
また、下半身の筋力低下で転倒しやすくなると、骨折の危険性が上がります。特に骨密度の低い女性は、骨がもろく骨折しやすいので注意が必要です。
何らかの病気になった場合も、筋肉量が少ないと悪化しやすかったり、持病がある人はその病気に悪影響が出やすかったりすることもわかっています。
その一方で、筋肉量を維持できている人は長生きできることもわかってきました。ボディビルダーのような筋肉隆々までは必要ありませんが、健康のためには筋肉の量を維持することが大切です。
身体機能が衰えた、健康と要介護の中間の状態を「フレイル」と言い、悪循環に陥ると要介護へ進んでしまいます。
加齢により筋肉の量が少なくなると、疲れやすくなって活動しなくなります。すると、代謝が悪くなるので食欲が低下。その結果、低栄養状態となり、さらに筋肉は減少してしまいます。
このような悪循環に陥ると、一気に要介護につながります。将来、この循環にならないために、元気なうちから筋肉を増やし、筋力アップに努めましょう。
電車やバスの中で、かかとを上げ下げするだけでも運動になります。また、エレベーターやエスカレーターは使わず、階段を使いましょう。筋力アップは日々の積み重ねが大切です。
運動はウォーキングを基本に、並行して筋トレを行うことが大切です。ウォーキングだけでは筋肉の減少は止められません。かといって、ジムに通ったり筋トレを行ったりする時間を取るのは難しいという人は、日常生活の中で体に負荷をかける工夫をしましょう。
例えば、電動自転車ではなく普通の自転車で力をこめてこぐ、エスカレーターは使わず階段を上り下りするなど、有酸素運動と同時に筋力を鍛えるようなトレーニングを生活の中に取り入れれば、続けやすくなります。
筋肉を増やすためには、栄養も重要です。筋肉はたんぱく質でできているので、毎日の食事で摂ることが大切。ただ、肉などは脂質が多いので食べ過ぎは禁物です。
もうひとつ、ビタミンDも必要な栄養素で、筋肉の合成を促す働きがあります。若い女性は筋肉の少ない人が多いのですが、運動不足だけでなく、痩せ志向で十分に栄養が摂れていないのも原因のひとつ。また、日焼けを嫌って太陽の光をあまり浴びていないので、ビタミンDが不足していることも考えられます。日光を浴びることが難しい場合は食事で摂りましょう。ビタミンDは魚介類、きのこ類、卵などに多く含まれています。
加齢による筋肉の減少は、ある程度は仕方のないことですが、極端に減少している場合は対策が必要です。自分の筋力を簡単なテストでチェックしてみましょう。
下の「立ち上がりテスト」は日本整形外科学会がロコモティブシンドローム(立つ、歩くといった移動機能の低下)予防のために推奨しているものです。片脚で高さ40cmの椅子から立ち上がれなければ移動機能が低下している「ロコモ」です。将来、要介護にならないためにも、運動を習慣づけて筋力をアップしましょう。
高さ40cmの椅子(または台)から片脚で反動をつけずに立ち上がり、3秒間キープします。左右ともにできたら大丈夫です。できない場合は、移動機能が低下しています。
出典/日本整形外科学会:ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモオンライン
もうひとつ、「ペットボトルの開け方」はキャップの握り方で筋力の衰えがわかるというもの。ふだん無意識に行っている動作で確認してみましょう。
側腹つまみ
逆筒握り
筒握り
3指つまみ
ペットボトルを開けるときのキャップの握り方は4つのうちのどれでしょう。伊藤園と鹿児島大学医学部で検証した結果、「逆筒握り」の人は筋力低下の可能性があります。
セルフチェックはいかがでしたか? 筋力低下が不安な方は、ぜひ運動や食事で対策を。伊藤園では、鹿児島大学医学部と共同でペットボトルの開け方と筋力低下の関係性を検証するなど、フレイル予防に役立つ取り組みを行っています。人生100年時代、将来のために筋力はできるだけ維持していきたいですね。
伊藤園 岩城