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認知症は高齢者のものだと思っていませんか。
実は、発症のリスクは約20年前から始まっています。今から脳を活性化しましょう!
鳥取大学医学部認知症予防学 教授
日本認知症予防学会理事長
浦上 克哉(うらかみ かつや)先生
鳥取大学医学部卒業、同大大学院博士課程修了。2001年より同大保健学科生体制御学講座教授に就任。2022年より現職。2011年に日本認知症予防学会を設立し、理事長に就任。認知症のスペシャリストとして、メディア出演のほか、著書も多数。
認知症は「もの忘れ」のイメージが強いですが、さまざまな症状があり、進行すると記憶障害だけでなく、判断力の低下、着替えや排泄などが自分でできなくなる実行機能障害など、日常生活に周囲の手助けが必要になります。また、認知症のタイプによっては、徘徊や妄想、暴言を吐いたり暴力をふるうなどの症状もあります。
高齢になってからかかる病気だと思っている方が多いかもしれませんが、「老化」=「認知症」ではありません。その証拠に100歳でもしっかりした方もいれば、若くして認知症になる方もいます。
認知症の中でも代表的なアルツハイマー型認知症は、脳に「アミロイドβ(ベータ)」というタンパク質がたまり、神経細胞を破壊された脳が萎縮することで起こるのですが、早い方で40代からたまり始め、認知症へと進んでいきます。下のグラフのように、発症のリスクは約20年前に始まっているのです。
認知症の一番の問題は、発症すると進行のスピードを遅くすることはできても、元の状態には治せないことです。しかし、認知症になる手前の状態(MCI)であれば回復は可能です。
認知症は治らないのですから、認知症にならないことが重要。若いうちから認知症の発症リスクを抑え、予防に取り組みましょう。上のチェックリストで当てはまるものがある人は、次でご紹介する対策に取り組んでください。
※年齢は例であり、個人差があります。
引用:『科学的に正しい認知症予防講義』(翔泳社)の一部を改変。
最も患者数が多いアルツハイマー型認知症の年齢と脳の変化のグラフです。認知症の原因物質「アミロイドβ(ベータ)」というタンパク質が、発症の20年前からたまり始めています。
アルツハイマー型認知症は、脳が萎縮して認知機能が低下していきます。
軽度認知障害(MCI)は、認知症になる手前の状態。記憶力や注意力などが低下していますが、日常生活に問題はありません。この段階で早期発見ができれば、認知症の発症を予防できる可能性があります(※)。しかし、MCIかどうかはわかりにくいのが難点。「すぐに忘れてしまう」「新しいことを覚えられない」「家事や仕事で失敗が増えた」などの変化があれば、早めに専門医の診察を受けてみましょう。
※鳥取大学、伯耆町、鳥取県が連携し、浦上克哉教授が中心となって開発した「とっとり方式認知症予防プログラム」(運動や知的活動、コミュニケーションなど)を軽度認知障害(MCI)の高齢者に取り組んでもらったところ、認知機能が向上しました。
認知症予防は、新しいことにチャレンジして、いろいろな神経細胞を使うことが大切。
知的活動や運動、コミュニケーションなどを通じて、脳を活性化しましょう!
脳の活性化には頭を使って指先で行う作業や、新しいことにチャレンジすることが大切。例えば、俳句や川柳、短歌のように何もないところから作品を生み出すのは、脳にも良い影響を与えます。
また、料理は献立を考えて材料を買ったり、作る段取りを考えたり、頭も手先も使います。語学の習得は日本語と外国語で脳の使う場所が少し違うので、より効果的。ほかにもパズルや楽器演奏など、楽しく続けられそうなものに挑戦してみましょう。
「認知症予防は何歳から始めたらいいですか」と、よく質問されるのですが、前述のとおり「アミロイドβ(ベータ)」は40代からたまり始めるので、40代でも早過ぎることはありません。一方、いくつになっても筋肉は鍛えられるように、脳にも同じことが言えます。神経細胞自体は老化していても脳が活性化することで、全体の機能として状態が良くなることもあります。
では、具体的に何をすればいいのでしょうか。実は、脳には我々が日常生活の中で行っていることすべてが影響します。まずは、朝起きて夜寝るという規則正しい生活、朝昼晩の3食きちんと食事を取るといった、当たり前のことが大切です。
そのうえで、頭を使って指先を動かす知的活動に取り組みましょう。なかでも、俳句や川柳、短歌のように何もないところから創造する作業は効果的。ほかにも、クロスワードパズルや将棋、楽器演奏など興味のあるもの、続けやすいものに挑戦してみてください。
また、運動も大切です。運動によって脳の神経細胞を活性化するホルモンの分泌が促進されることがわかってきましたし、認知症のリスクが高まる生活習慣病の改善にも役立ちます。
ただし、あれもこれもしなくてはいけないと思ってストレスになると逆効果なので、無理のない範囲で取り組んでいただけたらと思います。
脳にいい、体にいいと言って特定のものばかり食べるのではなく、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。メタボや高血圧など認知症のリスクを高める生活習慣病の対策も忘れずに。
運動は血の巡りが良くなるだけでなく、脳の神経細胞を活性化するホルモンの分泌を促進することが最近わかってきました。そのため、認知症予防にも良いと言われています。ウォーキングなどの有酸素運動と筋力運動をバランス良く行いましょう。
会話といっても家族や気心の知れた人ばかりでは脳が活発に働きません。コロナ禍以降、直接会話をする機会が減っていることも問題です。感染に気をつけながら、できるだけ対面で多くの人と会話をしましょう。
アルツハイマー型認知症の要因であるアミロイドβ(ベータ)は、夜寝ているときに除去されると言われています。睡眠不足や睡眠の質が悪いと、うまく除去されずにたまってしまうので、質の良い睡眠をしっかり取りましょう。