Vol7脳力を鍛えていきいき暮らそう

脳はしっかり使ってゆっくり休めることが大事
便利になった社会環境が人間の脳にはマイナスに!?

脳にとってよい習慣 【運動】体を動かせば筋肉の情報が脳へ伝わります。有酸素運動のウォーキングが最適。ジムなどの室内よりも戸外のほうがベター。 【本を読む】本を読むという行為は文字を目で見たり、言葉を理解したりというさまざまな刺激をもたらします。黙読よりも音読のほうがより効果的。 【料理をする】メニューを考えたり、調理したり、味をみたり、さまざまな行為が盛り込まれる料理は脳全体をフル回転させます。食事も皆で楽しんで。 【よく噛んで食べる】噛むという行為は脳の血流循環を促進し、脳の動きを活発にします。また、青魚に多く含まれるDHAやEPAなどは脳を元気にする栄養素です。 【3食きちんと食べる】規則正しい食事を、とくに朝食は睡眠中に下がった体温を上げ、脳や体の活動を上昇させるので必ず摂るようにしましょう。できれば温かい料理を。  新年のあいさつを年賀状ではなくメールで送ることが一般的となった昨今、以前に比べると字を書く機会が激減しています。たまに字を書こうとすると、漢字を思い出せないこともしばしばです。
 パソコンなど便利な機器が普及すればするほど、私たちは頭を使わずにすみ、「脳の能力」すなわち”脳力“が衰えていってしまいます。最近は若い世代にも、もの忘れが増えているとの指摘もあります。

年齢とは関係なく
脳は鍛えた分だけ活性化

 脳の細胞は20歳頃をピークに、その後減少していくといわれています。しかし、脳全体の細胞の数からすれば、その数はほんのわずか。「年だから」とあきらめるには早過ぎます。それに、脳は鍛えれば、年齢に関係なく活性化することが分かっています。例えば、何万もの通り名を覚えているロンドンのタクシー運転手は同年齢の人に比べて空間の記憶に関係する海馬という部分が広かったという調査もあります。
 脳を鍛えるといっても、使うばかりでは脳は疲労困憊になり、働きが鈍ってしまいます。
 脳を使ったら、しっかりと休ませることも大事です。それには睡眠がいちばん。最近の研究では、眠っている間、脳は蓄積された記憶を整理しているのではないかといわれています。また、目をつぶってリラックスするだけでもかなり効果的です。
 では、具体的に脳はどのように鍛えればよいのでしょうか。

普段の生活から脳を鍛える習慣を身に付けよう
まずは脳を知って鍛える部分を見極めよう

やってみよう!脳のトレーニング (1)1人ジャンケントレーニング…左手はチョキ、右手はグーというように必ず左右の手が別々のものを出すようにする。次に、右手が必ず勝つようにして同様にジャンケン。 (2手探りコイン計算トレーニング…複数のコインを目の前にばらばらにして置き、目隠しして、それを1枚ずつ触って、いくらのコインか当てます。最後に合計金額も。 (3)足立ちトレーニング…両手を組んで立ちます。片足を上げ、バランスを保ち、そのまま目をつぶり、なるべく長くそのままで。  脳は大きく大脳、小脳、脳幹の3つに分けられます。そのうち最も大きいものが大脳で、脳の80%を占めるといわれています。
 大脳はさらに前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分けられます。これらのうち、最も総合的な役目を担っているのが前頭葉です。目や耳から入ってきた情報は最終的に前頭葉に集め処理され、ここで思考や行動としてアウトプットされます。ですから、前頭葉はいわば脳の指令塔のようなもの。ここを鍛えれば、それに伴ってほかの脳の部位もおのずと鍛えられていきます。
 前頭葉を鍛えるには、運動をしたり、よく噛んで食べたり、本を読んだり、手や指を使ったりするのがおすすめです。中でも料理は献立を考えたり、買い物に行って金額を計算したり、複数のおかずを同時進行で調理したりと、前頭葉を刺激させるにはもってこい。できあがった料理を家族や友人たちと一緒に楽しめば会話も増え、前頭葉をさらに刺激します。

手軽なトレーニングを
取り入れ若々しい脳を維持

 こうした脳にとってよい生活習慣だけでなく、脳を鍛えるトレーニングを毎日短時間でも取り入れてみてはいかがでしょうか(左図参照)。楽しみながら行うのがポイントです。
 常に好奇心を持って趣味や旅行などさまざまな活動をすることは脳を元気にさせるだけでなく、人生の豊かさにつながります。逆にいえば、脳が元気であれば、新しい発見や感動を求めて積極的な生活を送れるようになるということ。
 脳を鍛えて人生をおおいにエンジョイしましょう。それって、ステキな歳のとり方だと思いませんか。