押す、握る、つまむなど、私たちは手を使って毎日いろいろな動作をしています。複雑で精巧な動きをする指のおかげで、料理や裁縫など緻密な作業もでき、さらには、感触で分量を量ったり、ものを選り分けたりと、手はとても優れた器官です。
全身の表面積の中で、手が占める割合は10分の1程度にすぎませんが、手と指をコントロールするために使われる大脳の領域は3分の1以上を占めるといわれています。指先には脳につながっている神経細胞が多く、手が「第2の脳」と呼ばれたり、哲学者のカントが、「手は外部の脳である」と言ったのもうなずけます。
右手は言語表現や計算能力など具体的・論理的思考を司る左脳と、左手は直感や創造性などイメージや芸術性に関わる右脳と関係があるとされています。末梢神経が多く通っている指先を動かせば、脳への血流がよくなり、脳の働きが活発になるとはよく言われることですが、実際に手や指を動かした後、脳の血流量を測定したデータによれば、10%以上も血流がよくなったという結果が出ています。
また、手にはあらゆる臓器のツボと経絡が集まっており、手と健康は密接な関係にあるといえるでしょう。