季節のドクターズアドバイス 気候の変化により疲れをしっかりとリセット。「秋バテ」を防いで快適な日々を過ごそう 麻布ミューズクリニック 名誉院長 渡邊賀子先生 漢方専門医。北里研究所にて日本初の「冷え性外来」、慶応義塾大学病院漢方クリニックで女性専門外来『漢方女性抗加齢外来』を開設。冷え性の診断と治療にあたり、メディアへの出演も多数。

「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、天候が変わりやすいこの季節は、体調を崩しやすくなります。
その原因は、冷房や冷たい飲食物による冷えによるもの。冷えにより自律神経のバランスが乱れ、秋口まで不調が続く「秋バテ」を感じる人が増えてきています。
そこで今号は、日本で初めて冷え症外来を開設した渡邉賀子先生監修のもと、秋バテの基礎知識や実践していきたい対策をご紹介します。

空調や飲食物による
冷えが秋バテを招く

秋バテ チェックリスト ・疲れやすく体がだるい ・やる気が出ない ・食欲がない ・朝スッキリ起きられない ・風邪をひきやすい ・口や喉が渇く ・寝汗をよくかく 血のめぐりをよくして体の冷えから守りましょう  「夏バテ」とは夏の暑さで体力や食欲が低下し、疲れやだるさなどの不調が現れる暑気あたりのこと。通常は涼しくなってくると解消しますが、夏の生活習慣による冷えが原因で自律神経のバランスが乱れ、秋口になって症状が出る「秋バテ」もあります。
 秋バテの原因は大きく分けて2つ。1つめは、暑さや節電対策のため、冷たいものを摂りすぎて胃腸の機能が低下した「内臓冷えタイプ」。 2つめは、冷房の効いた室内で長時間過ごしたための冷えや外気温との温度差のため、疲れやだるさがおこる「冷房冷えタイプ」です。
 どちらにしても、身体を冷やし過ぎてしまったことで全身の血のめぐりが悪くなり、引き起こされます。

冷えから体を守り
元気に秋を迎える

秋バテの対処方法 @疲労回復には、豚肉や色の濃い野菜がおすすめ。 A上着やカーディガンなどをこまめに着脱して温度を調節。ハイソックスやひざ掛けなどで下半身の保湿を心がけましょう。 B38〜39℃のぬるめのお湯にゆっくりつかりましょう。胸から下の半身浴をしながら、洗髪や体を洗うために浴槽を出るという動作を2〜3回繰り返すと血流が活発になります。 C就寝時はできるだけ冷房を使わず、保冷剤を首や後頭部にあてて、寝苦しさを解消しましょう。  「秋バテ」対策として、次の4つの方法で体を冷えから守ることが大切です。
 まず食事は、温かいものを積極的に摂ること。ショウガやシナモンのほか、ニンジンやネギといった根野菜など体を温める食材を選ぶとよいでしょう。 また、ビタミンB群には疲れをやわらげる働きがあり、豚肉や納豆に多く含まれています。
 次に冷房対策。オフィスや電車内など空調温度が決められている場合は、カーディガンや上着で室内外との温度差を調節できるようにしましょう。 長時間の時は、腹巻きやハイソックス、ひざ掛けを活用して保温するとよいでしょう。
 3つめは入浴。眠る2時間ほど前に38〜39℃のぬるめのお湯にゆっくりとつかることで血行を良くし、心身がリラックスモードに切り替わり、体力や胃腸機能の回復を助けてくれます。
 最後に就寝時ですが、暑さがやわらいでいれば冷房は使わず、代わりに首や後頭部を水枕や保冷剤で冷やせば寝苦しさも解消できます。 また、寒さで朝方目を覚まさないためにも、長袖のパジャマの着用や、毛布を準備しておくと安心です。暑さによる疲れを解消し、快適に秋を迎えるためにも試してみてはいかがでしょうか。