季節のドクターズアドバイス 水のチカラで 秋を快適に過ごそう 監修者 藤田紘一郎氏 東京大学医学系大学院修了。専門は感染免疫学、寄生虫学、熱帯医学。主な著書に『ボケる、ボケないは「腸」と「水」で決まる』ほか、メディアへの出演も多数。

歳を経るにつれ
水分量は減少

年代によって異なる体の水分の割合 私たちが生きていくうえで必要不可欠なのが「水」。体内で水が占める割合は、大人で約60%、新生児は約80%。年齢を重ねるにしたがって水分量は少なくなり、高齢者の場合は約50%と言われています。子ども…約70% 成人女性…約55%  人間は約60兆個の細胞から成り立ち、体内を占める水分の約3分の2は細胞内に存在。残りの3分の1は、細胞間に存在する細胞間液と血液にあり、生命を維持するために働いています。
 しかし、その大切な水分も歳を重ねるにつれ変化します。新生児の水分量は体重の約80%ですが、高齢者では約50%まで少なくなってしまいます。
 その理由は、筋肉量によるものです。私たちの体の中で水分を多く含む細胞は筋肉ですが、加齢に伴って筋肉量が減少します。 そのため、体内に水分を蓄えることができなくなってしまいます。また、筋肉に比べ脂肪のほうが水分量が少ないため、男性より女性は水分量が少なくなります。
 水分量が減ると体の恒常性を保つ機能が低下してしまいます。環境や病気の影響を受けやすくなるため、脱水症状には気をつけましょう。



渇きを感じたら注意
効率的に水分補給を

知っておきたい水の種類 ひとくちに「水」といってもその種類は豊富で、飲み水や、湧き水、温泉などすべて違う役割を持っています。それらは含まれている成分や、性質によって分類されており、目的別に種類分けされています。 海洋深層水…水深200m以下から採れる海水。ナトリウムやマグネシウムが含まれ、販売時は塩分が取り除かれ、殺菌処理がされています。 温泉水…地中から湧き出る水のことで、ミネラル成分が豊富。地熱によって温められており、水温が25度以上ある水のことを指します。 バナジウム水…ミネラル成分のひとつであるバナジウム。インスリンと酷似した性質があり、血糖値を下げる働きがあるとされています。 水素水…電気分解により生成された水素分子が、高い濃度で含まれたもの。分子の小さな水素は、体内の細胞のすみずみまで浸透するとされています。 純水…不純物やイオン成分を一切除去した水のこと。別名ハングリーウォーターとも呼ばれており、半導体などの洗浄に使われます。 還元水…水道水を電気分解することでマイナス電極側から生成されたもの。還元力を持ち、体の酸化を防ぐとされています。  人間は一日におよそ呼気から0.5ℓ、皮膚から0.5ℓ、尿や大便として1.5ℓの水分を排出していますが、 摂取量も排出量と同じくらいの水分を飲食物から補給する必要があります。
 水分補給の方法として、一回で大量に飲むのではなく、150〜250㎖程度の量を1日に6〜8回飲むのがベストです。
 水分が足らなければ脱水症や熱中症になり、また、過剰に摂取した場合は内臓に負荷がかかり、水中毒を引き起こしたりします。 これは体内のナトリウム濃度の低下によるもので、最悪の場合は死に至ることもあります。
 水分摂取のタイミングとしては、朝起きたとき、通勤で歩いた後、スポーツをする時、入浴後、就寝前などです。喉の渇きを感じたら、 既に体内の水分が不足している注意信号です。さまざまなトラブルを引き起こす前に水分補給を心がけましょう。