菌への正しい対策で食中毒を防ごう

季節のドクターズアドバイス 菌への正しい対策で食中毒を防ごう 監修者 西島基弘氏 国立医療品食品衛生研究所 食品添加物指定等相談センター センター長、実践女子大学名誉教授 薬学博士。食中毒などの原因不明や、食品添加物、残留農薬、自然毒、汚染物等の調査・研究を行う東京都立衛生研究所(減、東京都健康安全研究センター)などを経て現職。食品添加物や残留農薬など、食品における化学物質研究の第一人者。

食中毒を招く
細菌とウイルスの違い


 徐々に暖かくなる中、気をつけたいのが「細菌」や「ウイルス」によって起こる「食中毒」です。
 細菌は、温度や湿度などの条件がそろうと食べ物の中で増殖し、その食品を食べることで下痢や嘔吐、発熱、腹痛が発症。 その他に食品中で毒素を出すものや、体の中に入って毒素を産生して中毒を起こすものもあります。一方ウイルスは、食べ物の中では増えず、食べ物を通じて体内に入ると人の腸管内で増え、食中毒を招きます。
 肉や魚などの食材には食中毒菌が付いているものとして扱い、清潔にしている台所でも、細菌やウイルスはいると考えましょう。 食器用スポンジや布巾、シンク、まな板、包丁などは、細菌やウイルスが付着し、増殖しやすいため、洗剤で洗ってからこまめに熱湯をかけ、日に干すなどして殺菌を心がけましょう。

食中毒を防ぐ3つのポイント 外食だけでなく家庭での食事でも食中毒は発生します。原因菌を「つけない」「増やさない」「やっつける(殺菌)」の3つのポイントです。 @増やさない 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下に設定し、細菌の増加を防ぎましょう。冷蔵庫に入れてもドアの開閉で庫内温度が上昇し、腐敗菌などがゆっくりと増加するため、早めに食べることが大切です。 Aやっつける 充分な加熱をすれば細菌やウイルスは死滅します。ハンバーグなどの肉製品や魚の場合は食材の中心部を75℃で1分以上、ノロウイルス対策には85℃で1分間以上の加熱が必要です。 Bつけない 調理前後のまな板は、使用のたびに熱湯をかけるなど殺菌を心がけましょう。焼肉の際には、生の肉を掴んだ箸と、焼けた肉を掴む箸は別のものを使用しましょう。

覚えておきたい
予防と対策


 どの食中毒の起因菌も予防は手洗いが最も大切です。
 調理前だけでなく、生肉や魚介類に触ると、必ず食中毒菌が付いていると思いましょう。 食品を保管するときは、清潔な密封容器に入れたり、ラップをかけるなどで細菌を「つけない」こと。 次に、低温で保存して細菌を「増やさない」ことです。肉や魚などの生鮮食品のほか、惣菜は購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れ、冷蔵庫内で他の食品に接触しないような配置が大事です。 最後に、食品の加熱処理や台所用殺菌剤で、細菌を「やっつける」こと。生の食品だけでなく、温め直すときも中心部の温度が75℃以上になるように十分な加熱を心がけましょう。

食中毒原因菌の種類と潜伏期間 食中毒の原因となる病因物質は、細菌やウイルスの一部。カンピロバクターとノロウイルス以外の食中毒は、年々減少傾向が見られています。ここでは主な原因や潜伏期間を紹介します。 ウエルシュ菌…カレーやシチュー、肉じゃがなど大鍋で調理した食品を室温に放置し、翌日に再加熱が不十分だった場合に発生。軽い腹痛や下痢を発症します。潜伏期間:8〜12時間 ブドウ球菌…健康な人の皮膚(特に、手指の傷など)に分布。おにぎりや調理されたサンドイッチ、弁当類が発生源になることが多く、嘔吐や下痢、腹痛、筋肉痛などを引き起こします。潜伏期間:1〜5時間 腸管出血性大腸菌(O157やO111など)…生肉や加熱不十分な肉だけでなく、生肉を触った手で野菜などを触っても危険です。腹痛や水のような下痢、出血性の下痢を起こします。潜伏期間:3〜9日 カンピロバクター…食肉、特に鶏肉の感染率が高く、生食や加熱不十分が原因。生っぽい焼き鳥も原因食となり、腹痛のほか、発熱や頭痛、筋肉痛がみられます。潜伏期間:1〜7日 セレウス菌…チャーハンやスープ、スパゲティなどの食品が原因となります。作り置きした場合は、充分な再加熱が必要。毒素により嘔吐型と下痢型に分類されます。潜伏期間:嘔吐型 食後30分〜5時間後、下痢型 食後8〜16時間後 サルモネラ属菌…鶏のささ身などの生肉や、液卵の保存温度気を付けましょう。激しい胃腸炎、嘔吐、腹痛等の症状を引き起こします。潜伏期間:6〜72時間 ノロウイルス…冬季を中心に発生。人の小腸上皮細胞でのみ増殖し、人の手指や食品を介して感染します。吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱を引き起こします。潜伏期間:24〜48時間


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