季節のドクターズアドバイス 夏バテを予防して健康的な夏を過ごそう 監修者 川嶋朗氏 東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科 教授 専門は内科。近代西洋医学と代替・相補・伝統医療を統合した医療の第一人者。多くの学会で要職を務め、著書・監修書も多数。

夏バテの原因は
身体の疲労と胃腸への負担


 次第に暑くなってくるこの時期、気になるのが「夏バテ」です。
 人間の身体は、暑さを感じると汗をかいて、体温調節を行います。しかし、日本の夏は高温多湿。湿度が高いと、汗の蒸発がうまくできずに、体内に熱がこもってしまいます。
そのため、疲れがたまりやすくなってしまうのです。また、空調設備の発達した現代では、室内と屋外の温度差が激しく、その温度差に身体がついていけないこともあります。そうすると、自律神経の調子が整わず、疲れやだるさを感じるようになります。
 暑さの影響は他にもあります。体内の温度が上がると胃への血流が減り、汗によって塩分が排出されると胃酸の量が減ります。 そこに、冷たいものを摂取しすぎたり、同じようなものばかり食べる生活が続くと、胃腸の調子が悪くなります。


夏バテチェックリスト ・同じようなものばかり食べている ・あっさりした食事が多くなりがち ・最近食が進まない ・ジュース、炭酸飲料などの甘い飲み物やビールを多く飲む ・冷房の設定温度が28℃以下 ・汗をかかない ・熱いために寝苦しく、寝不足気味 ・寝付けないため、夜遅くまで起きている ・疲れやすい、疲れがとれない ・入浴はシャワーのみ ・ダイエットをしていないのに体重が減った ・胃もたれ、下痢がある チェック数が0〜3個 夏バテする可能性は低いです。この調子で健康的な夏を過ごしましょう。 チェック数が4〜6個 日々の生活を見直して、夏バテしないように心がけましょう。 チェック数が7個以上 夏バテです。夏バテ対策を実践してみましょう。

生活リズムとバランスの良い
食事が夏バテ防止のカギ


 暑さで眠れずに睡眠不足になることは自律神経の不調の原因となりますので、就寝、起床の時間を一定にして、生活リズムを整えましょう。 昼間は、室内の温度と屋外の気温の差が5℃以内になるように空調の温度を設定することで、急激な温度変化による疲労を防ぐことができます。また、就寝前にぬるめのお湯にゆっくり入ると、リラックスでき、寝つきが良くなります。
 食事は、一日三食、質の良いものを食べることが大切です。汗で排出されてしまい、不足しがちになるビタミンやミネラル、疲労回復効果のある栄養素をバランスよく摂るようにします。食欲がわかない時は、香辛料や香味野菜を活用するのも良いでしょう。
 暑さに負けない身体をつくり、イベントごとの多い夏をいきいきと過ごしましょう。

夏バテ防止の栄養素を含む食材 @ナイアシン ビタミンB群と同様の働きをする。脳のリラックスに欠かせないセロトニンの原料になる。 AビタミンB群 疲れのもととなる乳酸を減らす。糖質をエネルギーに変える。 BビタミンC ストレス耐性を高める。 Cアリシン ビタミンB1を吸収しやすくする。 Dクエン酸 疲労回復。汗のにおいを減らす。