季節のドクターズアドバイス 正しいウォーキングで毎日を健康に過ごそう 監修者 長尾和宏氏 長尾クリニック院長 関西国際大学、東京医科大学客員教授 医学博士。東京医科大学卒業後、大阪大学病院内科勤務を経て、尼崎市に在宅医療の長尾クリニックを開業。内科医、産業医、在宅医として、地域社会に根ざした医療を実践している。講演も積極的に行っており、『認知症は歩くだけで良くなる』、『病気の9割は歩くだけで治る!〜歩行が人生を変える29の理由〜』(いずれも山と渓谷社)など著作も多数。

姿勢・歩幅・リズムが
健康になる歩き方のカギ


 歩くことが健康によいことはよく知られています。健康のために散歩を日課にしたり、1日の歩数の目標を決めている方も多いかもしれません。しかし、なんとなく歩くのではなく、いくつかのポイントを押さえて、心身を健康に保つ運動に変えてみましょう。
 正しい歩き方のポイントは、姿勢・歩幅・リズムです。背筋を伸ばし、頭を起こして遠くを見ましょう。着地はかかとから、歩き出しはつま先で地面を蹴るようにして、身体を前に押し出すとスムーズに歩けます。
 適正歩幅は自分の身長マイナス100pなので、大股で歩くように意識しましょう。隣の人と話ができる程度のスピードがちょうどよいリズムです。
 体力に自信がある方は、坂道の上り下りをコースに加えると、別の筋肉を鍛えられます。

歩くときに気をつけたいポイント ・顔を上げて遠くを見る ・背筋を伸ばす ・大きな歩幅で歩く ・つま先で地面を蹴るように歩き出す ・ひざを伸ばしてかかとから着地する

生活習慣病も予防する
ウォーキングの力


 歩き方を意識して、散歩を有酸素運動に変えると、全身にさまざまな健康効果をもたらしてくれます。例えば血行改善。血流がよくなると新陳代謝が向上するので、老廃物の排出を促したり免疫力がアップします。日々の生活習慣が関わる生活習慣病にも効果的です。
 ウォーキングを行う時間帯は朝がおすすめ。朝日を浴びると、セロトニンという物質が分泌されるので、ストレスを軽減したり、睡眠の質が向上します。ウォーキングの時間が取れない場合は、通勤などの外出時に気をつけて、日々の生活に運動を取り入れてみてください。
 秋は食欲の秋であり、また、運動の秋でもあります。おいしいものをバランスよく食べ、運動を心がけて、実りある毎日を送りましょう。

正しい歩き方で5つの健康効果 @肺の機能が回復・向上 適度な運動によって深い呼吸をするようになるため、酸素を多く取り込めるようになります。 A筋肉のこりが改善 血流がよくなるため、体に蓄積した乳酸が排出されて筋肉がほぐれます。 B肥満の解消 大量の酸素を取り込んで筋肉を動かすことで、脂肪が燃焼されます。 C血流がよくなる 足の筋肉がポンプの役割を果たし、血行改善につながります。 D免疫力がアップ 基礎代謝が上がると免疫力がアップし、病気にかかりにくくなります。