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静岡県立大学
食品栄養科学部 特任教授
合田敏尚(ごうだ・としなお)
東京大学医学部卒。保健学博士。「ふじのくに」みらい共育センター長。米国アリゾナ大学医学部小児科研究助教授、静岡県立大学食品栄養科学部・同大学院生活健康科学研究科教授、同大学食品栄養科学部学部長、同大学副学長などを経て、2021年より現職。2017年日本栄養・食糧学会 学会賞受賞。専門分野は栄養生理学(消化吸収)、保健栄養学(糖尿病の発症予防)。
健康診断で血糖値が高いことを指摘された経験がある人はいないでしょうか?
血糖値が高いとなぜダメなのか、どうすれば下げられるのかを栄養学者の合田敏尚先生に伺いました。
私たちが毎日の食事で摂った糖質は、小腸で消化されて糖(グルコース)になります。糖は血液に乗って全身に運ばれ、エネルギーとして使われます。血糖値とはこうして血液中に入った糖の量のことです。
食事をすると糖質は小腸で消化され、糖となって血液中を巡り、血糖値が上がります。
食事などで血糖値が上がると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されて、血液中の糖が細胞に取り込まれます。しかし、肥満などの原因によりインスリンの働きが悪くなると、糖が血液中に残って血糖値は上がったままに。すい臓はさらにインスリンの分泌を増やしてその状態を解消しようとしますが、それが長年続くとすい臓が疲弊してしまい、インスリンの分泌能力そのものが落ちて糖尿病の発症につながります。
血糖値を上げやすい食事は、内臓脂肪をため込みやすい食事でもあります。思い当たる項目がある人は食生活を見直してみましょう。
健康な人の空腹時の血糖値はだいたい70〜100mg/dlで、それ以上であれば生活指導が行われ、126mg/dlを超えると治療が検討されます。
最近では、空腹時血糖値は正常範囲内でも、食後に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」の危険性が注目されています。血糖値スパイクはすい臓に負担をかけるだけでなく、体内に炎症物質が発生し、血管が傷ついて脳卒中や心筋梗塞などのリスクも高めます。
高血糖や血糖値スパイクを防ぐためには、小腸での糖の吸収をゆるやかにすることが大切です。食物繊維の多い食事を心がけ、よくかんでゆっくり食べましょう。また、食物繊維が多いものを先に、主食を後に食べるのも有効です。
日々の食事に気を配り、糖尿病や血管の疾患につながる高血糖の予防に努めましょう。
血糖値が上がりにくい主食を選ぶ
主食は食物繊維が多く、糖の吸収がゆるやかなものがおすすめ。白米に大麦などの雑穀を混ぜてもいいでしょう。麺類ではパスタが血糖値の上がりにくい食材です。また、パンにバターをつけると油分で糖の吸収がゆるやかになります。
食べる順番に気をつける
食事を摂る際は、最初に野菜や海藻、キノコなど食物繊維が多いものから箸をつけるようにしましょう。ご飯やパンなど糖質を多く含むものは最後に回すのが血糖値の上昇を防ぐポイントです。
空腹時は甘い飲料や
甘いものを控える
空腹時に糖質が多いものを摂ると血糖値が急激に上がりやすくなります。特に消化に時間がかからない甘い飲み物は血糖値スパイクを起こしやすいので注意しましょう。