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静岡県立大学
食品栄養科学部 特任教授
合田敏尚(ごうだ・としなお)
東京大学医学部卒。保健学博士。「ふじのくに」みらい共育センター長。米国アリゾナ大学医学部小児科研究助教授、静岡県立大学食品栄養科学部・同大学院生活健康科学研究科教授、同大学食品栄養科学部学部長、同大学副学長などを経て、2021年より現職。2017年日本栄養・食糧学会 学会賞受賞。専門分野は栄養生理学(消化吸収)、保健栄養学(糖尿病の発症予防)。
「メタボ(メタボリックシンドローム)」とは、単に太っているだけの状態ではありません。放置すると、命に関わる病気になることも。栄養学者の合田敏尚先生にメタボの原因と予防方法を伺いました。
「メタボ(メタボリックシンドローム)」とは、生活習慣病の前段階の状態で、原因は内臓脂肪の蓄積です。一般に「太っている」状態のうち、二の腕やお尻などに脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満はそれほど心配はいりません。しかし、内臓の周囲に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満は注意が必要です。
なぜなら、内臓脂肪型肥満はおなかが出るだけでなく、内臓に蓄積した脂肪細胞からさまざまなホルモンが分泌されて、高血糖や脂質異常症、高血圧を引き起こすからです。その状態が長く続くと、動脈硬化が起こりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞といった命にかかわる病気のリスクを高めます。
内臓に蓄積した脂肪細胞からは、血糖値を一定に保つインスリンの働きを悪くするホルモンが分泌され、高血糖からくる動脈硬化を起こしやすくなります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞などの発症率が高くなるのです。
内臓脂肪型肥満
腸など内臓のまわりに脂肪がたまり、おなかがぽっこりと出てくる。男性や閉経後の女性に多い。
皮下脂肪型肥満
腰まわりや二の腕、お尻などの皮下に脂肪がたまり、外から肉をつまむことができる。女性に多い。
誰もがついやってしまいがちなものばかりですが、
該当するものが多い方は気をつけましょう。
内臓脂肪の蓄積を防ぐには、食生活の見直しと運動が有効です。夕食は早めの時間にたんぱく質の多い食事を心がけましょう。ただし、肉など動物性たんぱく質に多く含まれる飽和脂肪酸の摂りすぎは、悪玉コレステロールや中性脂肪が増えるので禁物です。ちなみに、使われなかった糖質も肝臓で飽和脂肪酸へと作り変えられてしまいます。糖質の多いご飯やパンなどの主食は副菜や汁物の後で食べると、血糖値の急激な上昇を防ぎ、飽和脂肪酸の合成を抑えることができます。
運動は週2回ほど強めの運動を行うのがおすすめです。内臓脂肪は蓄積しやすい一方で、分解もされやすいので、2週間くらいで体形に変化が出始めます。
最近は男女共にメタボが増えています。また、痩せていてもおなかが出ている人は、内臓脂肪がたまっている可能性があります。油断せず、生活改善に努めましょう。
有酸素運動と筋トレで、
太りにくい体づくり
ウォーキングなどの有酸素運動は脂肪を燃焼させ、筋トレで筋肉が増えると代謝が上がります。両方行うことで太りにくく、病気になりにくい体づくりができます。
質の良いたんぱく質
バランス良く摂る
構成するアミノ酸からみると、肉、魚、卵、乳製品とともに大豆製品も質の良いたんぱく質です。この5種類をバランス良く摂りましょう。
抗酸化成分を含む
食品もおすすめ
血糖値が急激に上がると体内に炎症を起こす物質が増えます。お茶やコーヒーに含まれるポリフェノールなどの抗酸化成分は炎症を抑える作用があるので、食事のときに飲むのは理に適っていると言えます。