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東京医科大学 睡眠学講座 教授
睡眠総合ケアクリニック代々木 理事長
井上雄一(いのうえ・ゆういち)
東京医科大学、鳥取大学大学院卒業。医学博士。鳥取大学医学部神経精神医学助手、同大講師、順天堂大学医学部精神医学講師を経て、現在は、東京医科大学睡眠学講座教授、睡眠総合ケアクリニック代々木理事長を兼任。神経精神医学と睡眠障害治療の専門家として活躍している。著書は『高齢者の睡眠を守るー睡眠障害の理解と対応』など多数。
睡眠に対する悩みを持っている人は少なくありませんが、悩みの内容は年齢に応じて変わります。
中高年の睡眠の特徴について、東京医科大学睡眠学講座教授の井上雄一先生に伺いました。
中高年になると「夜中に何度も起きてしまう」「朝早く目が覚める」など、睡眠の悩みを持つ人が増えてきます。これは年齢とともに睡眠の質が変わってくるからです。私たちの睡眠は、体は休んでいても脳は働いている「レム睡眠」と、体も脳も休んでいる「ノンレム睡眠」が交互に現れます。ノンレム睡眠にはさらに眠りの深さの段階があり、年をとると、この“深い眠り”に入りづらくなるのです。
また、高齢になると体内時計のリズムが前にずれて早朝に目が覚めたり、夜早く眠くなったりします。加齢によるこうした現象は、仕方がないことともいえます。若いころのような「ぐっすり眠ってすっきり目覚める」ことを求めるあまりに「自分の睡眠は良くないのでは」と悩みすぎると、ますます眠れなくなってしまいます。
中高年になると、若いころのように「ぐっすり眠ってすっきり目覚める」ことが難しくなりますが、ある程度の睡眠時間が確保できていれば特に問題はありません。
4段階目の一番深い眠りは寝入りばなに集中して、後半になると徐々に眠りが浅くなってレム睡眠が多くなります。
一晩を通して浅い眠りが増え、深い眠りも3段階目までと少なくなります。また、途中で覚醒してしまう回数も多く見られます。
出典:井上雄一 著『ササッとわかる「睡眠障害」解消法』(講談社)改変
不眠のせいで日中の眠気がひどく、生活に支障が出るといった場合は医療機関への受診が必要となりますが、そうでないのなら心配しなくても大丈夫です。
ただ、睡眠の悩みは、生活習慣が関係していることも多いもの。例えば、長すぎる昼寝、運動不足のほか、「眠ってしまってもいいように」と、布団に入ってからテレビやラジオを楽しむのは要注意です。
逆に良い睡眠のためにおすすめなのは、朝起きたら日の光を浴びる、日中は軽い運動をする、寝る2〜3時間前に入浴するなどです。
そもそも睡眠の役割は、体と脳の疲れを取ること。眠りそのものより日中の活動に注目し、夜、自然と眠れるような生活を目指しましょう。
朝30分、日を浴びる
朝6時から8時ぐらいの間に30分以上日の光を浴びると、体内時計がリセットされ、夜自然と眠くなるようになります。
昼寝は午後3時まで
昼寝をするなら午後1時から3時までの間に30分程度がおすすめです。布団に入ると寝すぎてしまうので、イスやソファを利用しましょう。
眠くなるまで
寝床に入らない
睡眠時間が必要以上に長くなると眠りが浅くなります。眠くなるまで布団には入らず、寝ながらテレビを見たりラジオを聞くのはやめたほうがいいでしょう。
寝酒はNG
少量のアルコールは気分を興奮させ、多量のアルコールは浅い睡眠や夜中に起きてしまう原因になります。晩酌を伴う夕食は寝る4時間前までが理想です。