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東京都済生会中央病院
院長補佐・脳神経内科部長
脳卒中センター長
大木 宏一(おおき・こういち)
慶應義塾大学医学部卒業、同大学院博士課程(神経内科)修了。医学博士。スウェーデン ルンド大学留学後は、慶應義塾大学病院 神経内科 助教、同専任講師、東京都済生会中央病院 脳神経内科 医長を経て、2024年より現職。脳卒中の治療を専門に、頭痛、めまいなどにも脳神経内科的なアプローチで患者が納得する診療を心がけている。
脳の血管が詰まる「脳梗塞」には、症状がなく気づかないものがあることをご存じでしょうか。いわゆる“隠れ脳梗塞”について、専門医の大木宏一先生に伺いました。
脳卒中は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れて脳内に出血する「脳出血」、脳動脈瘤という血管のこぶが破裂してくも膜下腔に出血する「くも膜下出血」の3つのタイプに分けられ、最も多いのが脳梗塞です。
脳梗塞には、動脈硬化により脳の太い血管が詰まってしまう「アテローム血栓性脳梗塞」、細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」、心臓の中にできた血栓が脳に運ばれて脳の血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」などがあります。
片側の手足のまひやしびれ、顔のまひ、ろれつが回らない、言葉が出てこない、視野が欠けるなど、脳梗塞が生じた部位により、さまざまな症状が現れます。ところが、そのような症状が出現しない脳の部位に脳梗塞が生じるのが「無症候性脳梗塞」(隠れ脳梗塞)です。
脳卒中の中で最も多く、全体の約75パーセントを占める脳梗塞は、脳の血管が詰まってその先に血液が流れなくなり、脳の組織が壊死する病気です。半身がまひしたり、ろれつが回らないなど、さまざまな症状が現れ、後遺症を残すこともあります。
ところが、脳梗塞を起こしても壊死する範囲が小さいと症状が現れないことがあります。これが“隠れ脳梗塞”と言われる「無症候性脳梗塞」で、その多くは、脳の深部の細い血管が詰まって生じた「ラクナ梗塞」です。
隠れ脳梗塞”は、脳ドックを受けたり、頭痛や外傷などでMRIやCTを受けたりした際に偶然見つかるケースがほとんどで、40代から加齢とともに増えてきます。特に、高血圧や糖尿病、喫煙習慣のある人、肥満や無呼吸症候群の人は、“隠れ脳梗塞”を起こす割合が高いので注意が必要です。
高血圧は脳卒中の最大の危険因子であり、その中でもラクナ梗塞は特に血圧の影響が強く、血圧のコントロールは予防として一番効果があります。ラクナ梗塞での血圧管理の目標は、一般的な140/90mmHg未満より厳しく、130/80mmHg未満が推奨されています。毎日の食事は減塩を心がけ、定期的な有酸素運動を生活に取り入れましょう。
隠れ脳梗塞”がある人が脳梗塞になるリスクは、ない人に比べて約4倍高いと言われており、また、将来の認知機能障害や歩行障害のリスクにもなります。脳ドックなどで隠れ脳梗塞”を指摘されたら、放置せずに脳卒中の専門医を受診しましょう。
血圧は食事や運動、気温の変化、日々のストレスなどさまざまな要因で変動するので、朝晩それぞれ決まった時間に測定し、記録して推移を確認しましょう。
加工食品だけでなく、健康に良いと言われる伝統的な日本食も塩分が多くなりがち。調味料の量を控えるときは出汁の旨みや風味を生かして物足りなさを補うのがおすすめです。
青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸(EPAやDHA)は高血圧のリスクを減少させることが知られています。たんぱく源として、肉だけでなく魚も積極的に食べましょう。